2016年02月26日発行 1417号

【議会を変える、市民と変える/建て替え・改修に市民の声を 京都府向日市議・杉谷伸夫】

 人口減少社会を迎える一方で、高度成長期に造られた公共施設等が老朽化し、その更新が全国の自治体で重要な課題になっている。京都市に隣接する向日市はそれほど急激な人口減少は見込まれず、取り組みものんびりしていたが、ここにきて急に慌ただしくなってきた。

 昨年12月市議会で、市長が老朽化した市役所本庁舎を大規模耐震改修するとともに、窓口機能の一部を駅前に今春建設開始予定の複合ビル(店舗・事務所付きマンション)の一角に移設する方針を打ち出した。この2月末開会の市議会に諮った上で、すぐに契約手続きを進めたい意向だ。

 現在の市役所は丘の上にあるため、高齢者などから不評だ。市の中心部にある駅前に市役所窓口が来るのは、確かに便利だ。私も含めて議会からは正面切った反対意見は少ない。しかし、である。コトの核心は、市役所窓口を駅前に設ける話ではなく、向日市の中核施設である市役所庁舎をどうするかだ。市役所庁舎問題は、これまで全く検討されてこなかったのだが、昨年末に「大規模改修して継続使用、一部移設」の方針が出され、3月には「一部移設」を決めようとしている。

 私は、駅前への窓口移設だけでなく、市役所庁舎の大規模改修(または建て替え)構想全体を示すよう求めているが、市はまだ検討は煮詰まっていないという。そんな中で、市役所の一部移設の承認が求められようとしている。

 先日、「市役所の一部移設を考える」集まりをもった。参加した市民からは、市役所が2カ所に分かれることの問題や、何より情報が市民にほとんど知らされていない中で、大切なことが決められていくことに対して批判が集まった。議会にこの問題の調査チームを設けて集中的に検討してほしいという意見が出された。市民の専門家も入れた検討を求める声も寄せられた。

 そんな中で、さらに重大なことがわかった。市民が利用する中核施設である市民会館・ホールが、耐震性が極めて低く、建て替えするしかないかもしれないというのだ。市民会館・ホールの建て替えは、小さな向日市にとって相当な負担だ。しかもこちらは緊急を要する。

 2月末に開会する市議会では、2つの施設の問題をどう解決していくか、主権者である市民が検討過程に関与することを求めて臨みたい。市の2大公共施設の建て替え・改修問題に直面した今こそ、市民が主役のまちづくりに取り組むチャンスだ。議会と議員には、市民代表としての役割の発揮が求められていると心したい。
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