2016年02月26日発行 1417号

【原発被害者訴訟 全国連絡会を結成 21原告団9645人が大同団結】

切り捨てと分断押し返す

 国と東京電力を相手に福島原発事故の被害回復と賠償を求めて提訴した各地の原告団が2月13日、避難者・滞在者・避難区域内外・福島県内外など置かれた状況の違いを超え、団結して裁判闘争を進めようと「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」を結成した。

 原発事故被害者による訴訟は全国で30件近く闘われている。連絡会には、このうち21原告団、9645人の原告が加わった。

 都内で開かれた結成集会には約180人が参加。社民・共産・維新・民主各党の国会議員からメッセージが寄せられた。

 経過報告は、福島地裁いわき支部に提訴している福島原発避難者訴訟原告団長の早川篤雄さん。「福島復興再生特別措置法の基本理念には『安心して暮らし、子どもを生み、育てることができる環境を実現』『住民一人一人が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるように』とある。いま原発被害者に対し行われていることはどうか。被害者を見捨て、切り捨てる政策であり、そのやり方は被災地・被災者を分断すること。今日を境に、手を携え合って必ず勝利するまで闘い続けたい」と述べた。

 確認された活動方針は「国と東電の法的責任を司法の場で徹底的に追及し、原状回復と完全な賠償を求める」「行政に対し、避難指示解除をはじめとする帰還促進政策の見直し、避難用住宅の長期・無償提供、被曝を防ぐ対策の拡充や医療・健康対策の確立などの長期的な被害者救済策を要求する」等5つの目的を掲げる。討論の中では、「この国は経済優先、オリンピックに浮かれ、腐りきっている。その象徴が原発再稼働。すべてプルサーマル対応型だ。活動の目的に『原発再稼働を認めない。日本は脱原発をめざす』の文言を入れてほしい」との意見が出された。

 各原告団からの訴えで、かながわ訴訟原告団長の村田弘(ひろむ)さんは「正直言って私たちはくたびれてます。5年に及ぶ避難生活は本当に過酷だ。去年、原告最高齢だった90歳の方が亡くなった、毎日『情けねぇなぁ、帰りたいなぁ』と言いながら」と声を震わせ、「どこまで被害者を侮辱すれば気が済むのか。怒りは燃え上がるばかりだ。私たちは法廷内で闘うと同時に、住宅問題のように目の前に迫る国や福島県の理不尽な仕打ちをはね返していかねばならない」と強調した。

 連絡会共同代表には早川さん、村田さん、東京訴訟原告団長の鴨下祐也さん、関西訴訟原告団代表の森松明希子さん、九州訴訟原告団代表の金本友孝さん、「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」訴訟原告団長の中島孝さんの6人が就く。

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