2016年03月04日発行 1418号

【2016AKAYフィリピン訪問団報告/アジア非核大会で連帯深める】

 2016年AKAY(注)フィリピン訪問団一行13人は、2月12日マニラ西対岸のマリベレス市で開催された「石炭火力の廃止を求める中央ルソンネットワーク」の集会、翌13日は二手に分かれ「平和と環境のためのアジア非核大会」(マニラ)、「子どもたちのためのピースキャンプ」(リパ市)に参加・交流した。訪問団の三沢隆広さん、古武家育子さんから報告が寄せられた。

非核大会/原発と平和で活発な論議

 マリベレスはバタアン半島の南端にある国際貿易の拠点。開発・整備が急速に進む地域です。そのエネルギーをまかなう形で設立された石炭火力発電所が住民たちに深刻な健康被害をもたらしていることが、健康医のレンゾー・グィント博士の基調、近隣の地元活動家たちの発言で明らかになりました。

 AKAY代表団は、阪神放射能市民測定所の佐野宏美さんが「福島原発事故とその影響」を報告。日々の活動からわかった食品への放射能汚染の現状は参加者に強い衝撃をもたらし、日ごろ食べている食品の安全性をめぐって活発な質疑応答に。また、「化石エネルギーか原子力エネルギーか」の二者択一を迫るフィリピン政府に対し、再生可能エネルギーでの対応を迫ろうなど意見が交わされました。

 2日目の「平和と環境のためのアジア非核大会」は、フィリピン大学ローランド・シンブラン教授による「アメリカのアジア戦略批判」、再生可能電力戦略センター代表で技術者であるロベルト・ベルゾナ氏による「再生可能エネルギーはすでに現実のもの」の2つの基調でスタート。

 日本から、佐野さんの報告と共に、ZENKO三橋英子さんが「憲法9条の改憲策動と戦争法、集団的自衛権を合法化した日本政府の戦争政策」、三沢が「子ども全交の活動報告と沖縄辺野古新基地建設反対の闘い」を紹介しました。

自衛隊駐留に危機感

 出席者は、中国の南沙諸島の埋め立てによる緊張の高まりを口実に米軍がVFA(訪問軍協定)により事実上恒久的に居座る事実、日本政府の新たな軍事的段階と自衛隊版VFAによるフィリピン駐留を狙う情勢に、強い危機感を共有することができました。

 特に日本の戦争法に関しては踏み込んだ議論が交わされました。戦争法通過に対する無念さと同時に日本の闘いへの関心と期待は大きく、ノーニュークス・アジアフォーラムのコーラ・ファブロスさんは3・1ビキニデー連帯、3・11フクシマ連帯、4・26チェルノブイリ30周年、5〜8月全国平和行進から原水爆禁止世界大会への参加へという通年連帯アクションプランを提起。英語版「戦争法廃止2000万人署名」も多くの参加者が持ち帰り、2月下旬に訪比するAKAYユースジャパン・ツアー団に託すことを約束してくれました。

 大会主催者の一人ポール・ガランさんも、学生・青年層へのコミットを強化し平和のための移動図書館・出前授業などの試みを熱く語り、軍拡への流れに歯止めを打つ決意をあらためて確認する場となりました。  (三沢隆広)

ピースキャンプ/世代つなぐNO WAR!

 13日リパ市で就学前教育施設ABAKADAの30家族とスタッフ10人、日本8人の参加でピースキャンプを実施。

 2年連続参加の学生倫(りん)さんを中心にキャンプ内容づくりに果敢に挑戦できたことが、大きな成果だ。子ども全交時代の友人とのエイサーは子どものみならず親たちの心も見事に解放した。初参加の12歳のSさんもじわじわと子どもたちと仲良しになり、気づけば両手をつないでいた。会話が苦手だったと語る学生ゆきなさんもタガログ語での子どもたちとの会話に挑戦した。

 また、NGOボーンフリーアートの坂口さんがリードした「平和な海の絵」づくりは、「きれいな海であってほしい」との親子の思いが伝わるアートとなった。若い親たちは福島の現状に思いを馳せ、「汚染のない、争いのない海での漁業が、子どもたちの幸せにつながる」とのメッセージを発信してくれた。

 NO WAR! NO NUKES!≠フ思いを次世代につなぐ展望が見えたツアーとなった。(古武家育子)

(注)タガログ語で「ともに」の意。子どもと地域住民のためにフィリピン・日本の共同事業を行うプロジェクト。

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