2016年03月11日発行 1419号

【1419号主張/2000万人署名 広がる対話/アベ政治は打ち倒せる】

新たな戦前°魔キな

 自衛隊の最高レベルの作戦計画策定に際し、制服組(統幕=統合幕僚監部)が背広組(内局=内部部局)に権限の大幅移譲を要求していることが分かった(2/22東京新聞)。

 これまでは(1)内局が基本指針を定め、(2)その指針に基づいて統幕が計画を作り、(3)内局が大臣に承認を求める、という役割分担だった。統幕側は、昨年6月の防衛省設置法改定で背広組が制服組より優位な立場から大臣を補佐する「文官統制」制度が全廃されたのを受け、(1)と(3)の権限も譲るよう内局側に要求した。

 次の作戦計画には、昨年改定された日米新ガイドライン(軍事協力指針)と3月末に施行される戦争法制の内容が全面的に反映される。安倍政権下で勢いに乗る制服組はこの際、背広組との力関係を逆転させ、フリーハンドで兵力を海外展開できるようにしたいともくろんでいる。

 戦前、軍部の独走を止められなかった反省に立って設けられたシビリアンコントロール(文民統制)の諸制度。それを投げ捨てることは、“新たな戦前”の到来以外の何ものでもない。

政治の変革は可能だ

 戦争する国へと突き進むアベ政治は必ず退場させる。そのための政党レベルの陣形がようやく整った。

 2月19日、民主・共産・維新・社民・生活の野党5党党首が会談。参院選に向けて戦争法の廃止と集団的自衛権解禁の閣議決定撤回を共通目標に掲げ、1人区での候補一本化を視野に最大限の選挙協力を行うことで一致した。

 昨年夏、国会前と全国各地をつないで「戦争法案絶対反対」「勝手に決めるな」「野党は共闘」と声を上げた市民の直接行動が実を結びつつある。「街頭の民主主義」は政治における民主主義の実現なくして終わることはない。
 2011年5月、「真の民主主義を今こそ」と首都マドリードの広場を占拠したスペインの若者たちの行動は、14年1月反緊縮を掲げた新政党ポデモス(「私たちにはできる」の意)結成、昨年12月総選挙でポデモス69議席獲得、第3党として初進出という政治変革をもたらした。

 同じ11年の9月、「われら99%」「1%から富を奪い返せ」と唱えて国際金融資本の牙城を占拠した米オキュパイ・ウォール街運動は、今年11月大統領選の民主党候補指名争いで「民主主義的社会主義者」サンダース上院議員への支持が急拡大するという米国政治史上かつてない変化を生んでいる。

 日本も例外ではない。

市民が時代を動かす

 野党共闘・選挙協力に息を吹き込み、力を与えるのは、主権者市民の声と行動だ。

 「ティーンズソウル」のデモをリードした16歳の女子高校生は「政治を考え、学び、友達と話す私たちの小さな一つずつの積み重ねがこの国の民主主義をつくる」と語る。高校無償化からの朝鮮学校排除に在日の女子学生は「人権侵害が平然と行われる日本社会に私は激しい怒りを抱く」と抗議する。

 選挙権のない彼女らだが、戦争体制への危機感は強い。こうした草の根の民意を形にし、安倍につきつける。年齢・国籍を問わない戦争法廃止2000万人署名の意義がここにある。

 (2月29日)
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