2016年03月11日発行 1419号

【みるよむ389 2016年2月27日配信 イラク平和テレビ局in Japan 女性を守るシェルターを作る】

 2015年12月、サナテレビはIS(「イスラム国」)などによる女性への人権侵害と迫害にどう対抗していくのかについて市民にインタビューを行った。厳しい抑圧と闘う女性、市民の声を聞いてもらいたい。

 イラクでは今、女性に対する人権抑圧が深刻だ。まずは何と言っても「イスラム国」が女性のあらゆる権利を奪っている。レイプの被害や女性を奴隷として売り飛ばす人身売買、ヤジディ教徒に対する迫害など、人権蹂躙と犯罪行為を続けている。社会全体でもイスラムの教義や部族社会の風習を口実にして女性に対する人権抑圧が広がっている。

 女性たちが自らの考えを述べていく。メディア関係者の女性は「人身売買と闘うネットワーク」を作って人権侵害と闘っている。次に登場する女性活動家はイラク社会で人権侵害を受けているすべての女性のためのシェルターの開設を要求している。

 人権を守るのは本来、政府の役割でなければならない。しかしイラクのアバディ政権は全くまともな取り組みをやっていない。アバディ政権自体が女性の人権を奪い取るイスラム主義政党を基盤にしていているからだ。教育の男女分離を平気で推進し、人権侵害を推進する立場なのだ。

 インタビューに答える人びとは、こんな状況の中で自ら人権擁護の闘いを進めている。女性の人権を守るための討論会に参加している女性がいる。そのような場で、NGOが中心となって女性を守るシェルターを開設しようと訴えている。

自ら立ち上がる女性たち

 ある女性は「女性団体や女性の集会の組織化や、女性活動家によって組織される平和的なデモによって政府に圧力をかけなければならない」と訴える。

 日本をはじめ世界の主要メディアは「イスラム国」の女性に対する残忍な人権抑圧などをわずかに報道しているが、イラク女性自身の声や人権侵害と闘う姿はほとんど伝えない。それに対してサナテレビは、自らが立ち上がる女性たちの闘いの一端を伝えている。

 この闘いは当然人権侵害を容認しあるいは共犯者となっている政府に対する闘いを進めていくことになる。非常に厳しい状況の中でも、女性の人権確立のためにイラクの社会変革を進める人びとの考えや姿勢を伝える映像だ。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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