2016年03月11日発行 1419号

【全国一斉行動/朝鮮学校に「高校無償化」適用を/学ぶ権利を侵害するな】

 第2次安倍政権が初仕事の一つとして文部科学省令を改悪し(13年2月)、朝鮮学校だけを高校無償化制度から完全に除外して3年。大阪・愛知を皮切りに各地で闘われている裁判に勝利し、無償化を即時適用させようと全国一斉行動が展開された。

大阪/生徒代表がアピール

 2月13日、大阪市内で「朝鮮高級学校無償化を求める全国一斉行動全国集会」が開催された。

 会場満杯の集会で特徴的だったのは、当事者である朝鮮高級学校生徒たちの多数の参加だった。京都・神戸・大阪の各朝鮮高級学校の生徒代表がステージに上がり、無償化適用除外を受けている当事者として発言した。「両親が財政的な負担も負いながら、ウリハッキョ(私たちの学校)に通わせてくれたことへの感謝」「民族の誇りを養うウリハッキョは絶対になくしてはいけない」「ウリハッキョの教師になるために朝鮮大学に進学する」など、日本社会において、民族差別を許さない、高校無償化を実現させるという決意は参加者の胸を打つものだった。

 また、韓国からは「ウリハッキョと子どもたちを守る市民のつどい」の孫美姫(ソン・ミヒ)代表が「かたく握りあった手を離さなければ、私たちは必ず勝ちます」と力強い連帯のメッセージを述べた。最後に、民族排外主義を許さぬ連帯した闘いで朝鮮高級学校への無償化適用を勝ち取る決意をこめた集会決議を採択した。

(中大阪朝鮮初級学校とともに歩む会の共同代表・富田穀)

東京/文科省へ要求突きつける

 東京では2月19日、在日の大学生・高校生らが文科省前で毎週続けている「金曜行動」がこの日も取り組まれた。

 まずマイクを握ったのは、卒業生たち。「小学生だった後輩たちが高校に入り、差別に抗(あらが)うために声をあげている。こんなことがあっていいのか」「私たちは果たすべきすべての義務を全うしている。それなのに行使すべき権利は奪われるのか。これが法治国家なのか」

 卒業を目前にした生徒の一人がかみしめるように語る。「私たちが朝鮮の歴史を学び、記憶し、世代を超え伝えていく。このことを日本政府は最も恐れている。日本が朝鮮を植民地にし、言葉も歴史も土地も名前も命もすべて奪ったことは、どんなに朝鮮学校を弾圧しようと、消えない。私たちはこの先、どんなにつらく苦しくとも、歩んできた道を信じて進んでいく」

 在学生も発言した。「私が通う神奈川朝鮮高校は創立65年。校舎は古びて不便だが、私はウリハッキョ(私たちの学校)を誇りに思う。植民地支配によって奪われたアイデンティティを取り戻すため一世二世が血と汗と涙で築き上げてきた学校を、私たち三世四世がしっかり引き継いでいく」「他校への訪問活動を通して同年代の日本の学生と交流してきた。彼らは、在日朝鮮人の権利侵害を知って『私たちにできることはないか』と言い、文化祭やこの金曜行動にも顔を出してくれた。差別をなくし互いを尊重しながら歩み寄ることが学生にはできて、なぜこの国の政府にはできないのか」

 発言と発言をシュプレヒコールがつなぎ、朝鮮大学校生作詞作曲の『声よ集まれ、歌となれ』が歌われる。「どれだけ叫べばいいのだろう/奪われ続けた声がある/聞こえるかい?聞いているかい?/怒りが今また声となる」

 一人の女子生徒の叫びが文科省につき刺さった。「文科省のみなさん、窓を閉め、聞こえないふりをするのか。日本の市民を戦場に送ろうとしている安倍政権の政策にただひたすら従い続けるのか。私は、人権侵害が平然と行われる日本社会に激しい怒りを抱いている。絶対にこのまま黙って下がらない」



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