2016年03月11日発行 1419号

【被ばく強要・棄民政策と闘うつどい/被害者とともに生活補償実現へ】

 原発再稼働強行のために被害者の声を封じて帰還を強要する安倍政権。被害者とともに生活補償を実現しようと都内で集会が相次いでいる。前週の立川市に続き、2月14日には大田区で医療問題研究会の高松勇医師を招いて「被ばく強要・棄民政策と闘うつどい」が開かれた。ZENKOなどが主催した。

 高松さんは、福島県民健康調査2巡目で新たな患者が多数見つかったことなどをあげて「異常多発は揺るがぬ事実。WHO(世界保健機関)のがん多発評価に続き、国際環境疫学会が1月、日本政府に『甲状腺がんのリスクは想定よりはるかに大きい』と書簡を送った」と話し、国際的に確立された評価だと指摘。茨城県北茨城市での3人発症など「関東にも汚染は及んでいる。系統的に健康調査を進め、対策をとることが重要だ」と締めくくった。

 質疑では、レントゲン技師として働いていた男性が「技師は法律で守られているが、被害者は何の保護もされず放射線にさらされている。今日の貴重な話を福島へ、全国へ届くように拡散しましょう」と声を上げた。

 会場は避難者の痛切な訴えに耳を傾ける。いわき市から埼玉県に避難している女性は涙を振り絞った。「がむしゃらに働き、体をこわし、離婚し、何度死にたいと思ったか。オリンピックまでに被害者ゼロにしたい国と県から私たちは消されようとしている。いつ打ち切られるかと脅えてきた住宅補助は来年3月までと発表された。地元に残った姉も『私たちはマウス』と言う。20ミリシーベルトというありえない数字で帰還させ、原発は再稼働。事故の反省のない再稼働は全国民を棄民化する政策だ」

 都内に暮らす女性は双葉町からの避難者。「福島の人たちはがん患者はいないと耳をふさぎ、被害を口にすると村八分。焼却炉でどんどん燃やして『安心してくれ』。若者の突然死、白血病が多いのは事実だ。報道をシャットアウトする一方で、丸川環境大臣の『1ミリ基準に根拠ない』とは何事か。放射能がなければ一刻も早く飛んで帰りたい私たちの苦しみを何もわかっていない」と怒りに声を震わせる。

 「仮設住宅の奥さんは『住宅の雨漏りは直るが、心の雨漏りは一生消えない』と言った。福島の子どもをどうか守って。どこか爆発したら日本はもう終わり。絶対に再稼働はさせない。みんなで心を一つに頑張っていきましょう」

 「足立区でも放射能対策が後退している。検診への助成、避難者支援の意見書提出を求める請願署名を開始した」と地域からの取り組みを報告した平和と民主主義をともにつくる会・東京、日印原子力協定阻止・原発インド輸出反対を広げるコアネット(戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション)など、避難者支援を柱に原子力政策転換を求める闘いへの呼びかけもされた。

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