2016年03月18日発行 1420号

【1420号主張 辺野古和解成立は闘いの成果 新基地はストップできる】

新基地工事は中止

 3月4日、辺野古埋め立て承認取り消しをめぐる代執行裁判で沖縄県と国との和解が成立した。3つの裁判を取り下げ、工事を直ちに中止する。国は埋め立て承認取り消しの是正指示から手続きをやり直し、県は国地方係争処理委員会に審査を申し出、その後訴訟を提訴できる。判決まで円満解決に協議するとの内容だ。

 工事中止は、明らかに沖縄県民をはじめとする辺野古新基地建設反対運動の大きな成果だ。安倍首相は1月22日の施政方針演説で「(辺野古新基地建設は)もはや先送りは許されません」と埋め立て工事強行に固執していた。昨秋から警視庁機動隊まで動員し反対運動を弾圧してきた。何としても工事を続けたかったのは安倍政権だ。しかし、工事中止を受け入れざるをえなかったのである。

 山城博治沖縄平和運動センター議長は「ついに自主的な工事中止に追い込んだ」と評価し、ゲート前リーダーの一人、上間芳子さんは「『国がやることに逆らえない』と言われるが、『闘えば勝てる』と伝わるのではないか」と確信を語る(3/5東京新聞)。

民意が押し込んだ

 辺野古現地とオール沖縄の闘い、2・21国会大包囲2万8千人に見られる全国の連帯闘争は、バークレー市決議などに象徴される米国内の変化とあいまって、安倍政権に中止判断を余儀なくさせた。

 この意味は大きい。安倍は戦争法の具体化、集団的自衛権を行使する出撃基地として辺野古新基地建設をめざしていた。そのスケジュールが大きく狂う。防衛省幹部すら「全く予想していなかった」(3/5東京新聞)と語る工事中止の和解であった。民意が押し込んだ今回の和解は、安倍の戦争法発動・改憲路線に痛打を浴びせた。

 もちろん安倍は「辺野古への移設が唯一の選択肢であるという国の考え方に何ら変わりはない」(3/4)と、依然として新基地を進めようとすることは間違いない。政府広報紙たる読売新聞は「日米両政府と地元関係者が膨大な時間と精力を費やした末にようやくまとめた結論が辺野古移設である。政府は今の立場を堅持することが最重要」(3/5社説)と新基地推進を改めて強調し、政権を後押しする。

確信を改憲阻止へ

 安倍の狙いは、オール沖縄の民意とそれに共感する世論の拡大を恐れ、参院選の争点から辺野古新基地問題を外すことだ。争点隠しを許すことなく警戒を払い、闘いを強めて新基地建設そのものを断念させなければならない。

 国は裁判で勝訴判決を出させ、工事建設を進めようとするだろう。しかし、民意は揺るがない。「あらゆる手法で辺野古に基地は造らせない」との翁長(おなが)知事の立場は変わらず、県がさまざまな権限を駆使することで工事強行策動の前には幾重にもハードルが立ちはだかる。安倍は決して強くはなく、闘えば勝てる≠フである。

 この確信は改憲阻止への大きな力となる。辺野古はストップできる、改憲はストップできるとの確信が作られ始めている。辺野古完全断念、改憲阻止の闘いを広げよう。戦争法廃止2000万人署名の力で野党共闘をいっそう強め、7月参院選、さらには衆院選に勝利しよう。

 (3月6日)
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