2016年03月18日発行 1420号【戦争法廃止法案提出 改憲・戦争連合打ち砕く野党共闘へ】 |
戦争法の強行から５か月となる２月19日、野党５党（共産、民主、維新、生活、社民）は戦争法廃止法案を共同で提出した。同日、国会前では戦争法廃止の19日行動７８００人のデモが展開された。７月参院選で自公とおおさか維新などの改憲・戦争連合を打ち砕く態勢は整った。戦争法廃止へ大きな一歩２月19日、野党５党が共同で戦争法廃止法案を衆議院に提出した。廃止を求める法律は２本。（１）恒久派兵を狙った「国際平和支援法」と（２）武力行使のフリーハンドを狙った「平和安全法制整備法」だ。（１）は、「国際社会の平和・安全を脅かす事態に対し、国際社会が共同して対処する行動に日本も参加する」ことを目的とするもの。将来、イラク戦争型の有志連合、多国籍軍への参加を見据えた法律だ。〝国際紛争解決の手段として武力による威嚇・武力行使を永遠に放棄〟した日本国憲法に反するため、日本政府は、アフニスタガン戦争・イラク戦争ではウソを重ね期限付きの時限立法で多国籍軍に参加した。「国際平和支援法」はこれを恒久的に、いつでも政府の思惑で参戦できるようにするものだ。 （２）は、まず「同盟国への武力攻撃が日本の存立を脅かす事態」＝「存立危機事態」なるものをでっちあげ、「自衛」の名のもとに先制攻撃を可能とする集団的自衛権行使のための武力攻撃事態法改悪。海外派兵の地理的制約を取り払う周辺事態法改悪。他国軍への「駆けつけ警護」で武力行使の一体化を可能とするＰＫＯ（国連平和維持活動）法改悪。これらは、武力行使の機会を無制限に広げることを目指したものだ。そして、そのための国内体制づくりのための各種法改悪。これらに関する20本もの法改悪を１つの法案にして実現するという乱暴極まりない法律だった。 この２つの法を廃止する法案が戦争法廃止法案だ。 閣議決定撤回など合意戦争法廃止法案提出の19日、国会内で開かれた野党５党党首会談は、以下の４点を合意事項とし共闘を確認した。「（１）安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする（２）安倍政権の打倒を目指す（３）国政選挙で現与党およびその補完勢力を少数に追い込む（４）国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う」 安倍は、戦争法強行に続いて一気に改憲への道を突き進もうとしている。相次ぐ改憲発言に加え、参院選で「憲法改正を争点とする」とし、自公与党とおおさか維新などの補完勢力で改憲発議に必要な３分の２の議席確保を狙う。安倍のもくろみを阻止するために最低限必要な国政レベルでの〝自公・補完勢力VS野党共闘〟ができあがった。 ５野党党首会談の場で、共産党志位委員長は戦争法強行直後に掲げた「戦争法廃止の国民連合政府構想」を共闘の条件にしないことを表明し、同時に「参院選一人区での思い切った対応」を約束。共産党幹部としては初めて社民党大会に出席した。「思い切った対応」とは、野党の票が割れないように共産党独自候補の擁立を控え、他党候補の応援に回ることを含む。これまで地方・国政レベルで独自候補擁立にこだわり続けてきた同党としては、昨年の大阪都構想をめぐる大阪市長選挙に続く大胆な譲歩だ。 党首会談後、共産党は４月24日投開票の衆院北海道５区補欠選挙で予定していた独自候補を取り下げた。その結果、初の５野党統一候補擁立が同選挙で実現する。 ５野党共闘成立に自公は「野合」とのレッテルを張り分断を図っている。 だが、戦争法を容認するのか拒否するのかは、日本を「殺し殺される普通の国」に変えるのか、憲法の根本理念―戦力不保持・一切の交戦権否定を実現するのかという国の根幹にかかわる政策選択だ。憲法の根本理念を覆した閣議決定の撤回は、一内閣の閣議決定による憲法破壊を許さず立憲主義に基づく政治に回帰する、これも根本的な政策だ。５野党は個別政策の違いを超えて、根本的政策の一致を見たのである。 運動の力が共闘を実現５野党共闘を実現したのは、戦争法反対運動の力だ。戦争法案を審議する国会の前には全国から市民が押し寄せ、数万～十万人を超える抗議行動が繰り返し展開された。審議の合間に野党議員も参加し、全国と国会内外を結ぶ闘いが展開された。党内に改憲・好戦を抱える民主党なども最後まで反対に回った。 60年安保闘争以来の、全世代、全階層の自発的な闘いが国会論議を規定した。法案強行後も毎月19日行動には多くの市民が駆けつけ、全国で戦争法廃止２０００万人署名が展開されている。野党共闘を求める声と運動の力が今回の合意を引き出した。 運動がさらに大きくすることが５野党の共闘をすべての選挙区に拡大させる。参院選で改憲勢力を少数に追い込むことは可能だ。  |