2016年03月18日発行 1420号

【学習討論会/日本はインドに原発を売るな! 原子力協定阻止を参院選挙争点へ】

 2月27日大阪市内で「日本はインドに原発を売るな! 日印原子力協定阻止! 学習討論会」が開かれた。主催は戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション(略称コアネット)で、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパンが協力した。

 昨年12月、安倍首相がインドを訪問。インドのモディ首相と日印共同声明を発表した。インド全土で数千人規模の抗議行動が展開された。

 集会の冒頭ではこの抗議行動の映像が紹介された。日仏の原発メーカーが関与する建設計画のあるジャイタプールでは1千人以上の女性たちが逮捕されたが、気落ちすることなく笑顔で護送車に向かう姿が印象的だ。

 インドではジャイタプール、ミティビルディ、コヴァーダの原発建設計画地があり、それぞれ三菱重工、東芝、日立の各メーカーが関与している。とくに、原子炉圧力容器は日本製鋼所(室蘭)が世界の80%のシェアを占め、この部材が入らないと着工できない。日本の原発メーカーが仕事をするには、「日印原子力協定締結」が絶対条件である。

 基調報告では「日印首脳会談で『原子力協定が原則合意』されたと報道されたが、正式調印ではなかった」ことが強調された。外務省が公表した覚書はわずか5行で、「協定が、必要な国内手続に関するものを含む技術的な詳細が完成した後に署名されることを確認する」と書かれているだけだ。今年1月6日に日印外務次官対話で文書化が狙われたが、朝鮮の「水爆実験」の影響を日本政府が懸念し、結局文書化はされなかった。「つまり、あまりにもタイミングが悪いと判断し、参院選後に先送りしたものと考えられる。安倍政権は参院選までは隠し、選挙後に一挙に調印、国会承認へ持ち込もうという戦略であり、今年中が最大の山場である」と基調を締めた。

 コアネット顧問の福永正明さんがインドの原発を巡る動きと問題点を指摘。「インドは核拡散防止条約など核軍縮関係条約を一切拒否しており、1974年と1998年の2度にわたり核実験を強行し、『核保有国』であると主張している。インドとの協定は核兵器増産と原発増設を同時に認めることになる。日印2か国の問題ではなく、国際的にも新しい『核保有国』の容認となってしまう。これを日本が容認することは重大だ。『原発をインドに売るな! どこにも売るな!』の声を『原発再稼働反対』とともに高めていく運動が重要になっている」と訴えた。

協定阻止へキャンペーンを

 行動方針として「日印原子力協定阻止キャンペーン」が呼びかけられた。「日印原子力協定締結は、インドに核兵器増産のお墨付きを与え、全世界的な核拡散を引き起こす」との世論を大きくし、参院選の争点にしていく共同行動だ。

 具体的には、政府の矛盾を追及する省庁交渉、賛同議員を拡大する国会議員要請、1万筆を目標にした国際アピール署名の展開、反原発輸出写真展などに取り組む。

 情勢の山場では、インドから活動家を招請して阻止キャンペーンを展開する。7月下旬には「第3回原発輸出に反対する国際連帯シンポジウム」を開く予定だ。

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