2016年03月25日発行 1421号

【1421号主張 高浜原発停止と辺野古工事中止 野党共闘広げ安倍倒そう】

安倍を揺るがす民意

 3月9日、大津地裁は関西電力高浜原発3・4号機の運転を差し止める仮処分決定を出した。稼働中の原発を初めて司法が止めた。

 大津地裁は「福島の事故の原因究明は道半ば」と断じた。そんな状況で原子力規制委員会が「新規制基準」を制定したことに「公共の安寧の基礎になると考えることをためらわざるを得ない」と不信を表明。また、避難計画の不備を指摘し「避難計画を視野に入れた幅広い規制基準を策定すべき信義則上の義務が国にある」ことも明言した。仮処分決定は、安倍政権、規制委員会、電力会社が一体で進める原発再稼働に根本的な疑問を突きつけたことを意味する。

 福島事故の現実、反原発の運動と世論が司法を動かし、市民の生命と地域生活圏を守る判断を出させたのである。

 安倍は3月4日、辺野古埋め立て承認取り消しをめぐる代執行訴訟でも沖縄県と和解せざるを得ず、工事を中止した。これも沖縄県民をはじめとする辺野古新基地建設反対運動に押されたものだ。

 沖縄、原発―安倍政権の基本政策を、運動と民意が追い込み揺るがしている。

容易でない戦争法発動

 戦争法の施行期日が3月29日に迫っている。しかし、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣した自衛隊に課す予定だった「駆け付け警護」「治安維持」など武器を携える新任務は先送りされた(2/21朝日)。南スーダンの部隊が戦争法に基づく新任務につけば、「安全保障問題に注目が集まり、この夏の参院選の結果に影響する」(同前)ことを恐れたためだ。

 「一日も早い法制の整備が不可欠」と強行採決を連発して「成立」させた戦争法。しかし、安倍はそれを簡単には発動できない状況にある。戦争法反対の運動が衰えることなく継続し、2月19日には戦争法廃止、安倍政権打倒、国会・選挙協力など4項目で5野党が合意するまでの局面を作り出したからだ。

 安倍は「新三本の矢」(GDP<国内総生産>600兆円、出生率1・8、介護離職ゼロ)でもボロを出している。15年10〜12月期のGDPはマイナス1・1%。15年の実質賃金も4年連続でマイナスだ。「希望を生み出す強い経済」にはほど遠い。そして、「保育園落ちた」「私活躍できねーじゃねーか」と一母親が告発したブログが大反響を引き起こし、安倍自民をうろたえさせた。アベ政治は全くうまくいっていない。

2000万署名で野党共闘を

 安倍は倒せる。市民は安倍・自民党「一強」を望んでいない。毎日新聞世論調査(3/8)では、「一人区での野党候補者一本化を望む」44%に対し「必要ない」は38%。読売調査(3/6)でも、参院選で「与党過半数維持となることを望まない」が45%で「望む」43%を上回る。

 こうした結果に示される市民の意思を現実の野党共闘に実現させなければならない。参院選に向けて5野党は熊本の先行例に続き、宮城、長野、徳島・高知の各選挙区でも戦争法廃止などの政策協定を結び候補者を一本化した。市民の運動と世論の広がりこそが共闘の流れを加速させる。
 戦争法廃止2000万署名の成功はその鍵を握る運動だ。全力で広げよう。

 (3月13日)
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