2016年03月25日発行 1421号

【議会を変える 市民と変える/東京都足立区議・土屋のりこ/史上最高1303億円の基金を区民生活へ】

 3月議会まっただ中! 来年度財政の概況が見えてきています。区は法人住民税の国税化を受け苦しい予算立てとうそぶいていますが、補正予算では新たに基金を120億円積み増し、残高は史上最高の1303億円に。大型公共事業に多額をつぎ込み、区民からは搾り取れるだけ搾り取る近藤区政に対し、区民のためにお金を回せと求めなきゃいけないと強く感じます。

 足立区議会では一般質問は年に一度。今回初めて一般質問に立ち、子育て施策と民間委託について問いました。

 子どもの貧困対策でトップランナーを目指しているようですが、格差是正とは程遠い実態です。来年度予算で事業化された「償還免除型」奨学金は、成績要件平均4・0以上、高校・大学あわせて免除額の上限100万円。給付制奨学金から程遠く、また保証人を2人立てる要件は返還困難となった時に保証人を巻き込んで問題を大きくするだけで貧困対策に逆行します。条件緩和、減免、返還猶予をこそすべきです。区は償還されないと制度運営が難しくなると言いますが、こういったところにこそ貯めこんだ基金を活用すべきです。

 もうひとつ大きな問題が区役所業務の民間委託です。米国サンディスプリングス市は10万人都市で公務員がたった9人という行き過ぎた民営化を行い、裁判長さえ必要な時のみ時給100ドルの短期雇用。貧困層への社会サービスは切り捨てられ、格差拡大が深刻化しています。足立区もその後追いをしているのではと危機感を持ちます。

 この4月から国民健康保険業務がNTTデータ等のジョイントベンチャーに委託されます。自治体業務は、最低限度の国の施策に対し、住民の要望を窓口で聞きながら地域ごとに必要とされる加算措置など実態を職員が把握し、制度設計を行うことに本質があります。

 株式会社に窓口業務をはじめ区民と接する部分が委託されていくと、住民の切実な要求が区に届かなくなり、公的機関が利潤原理で運営されていってしまいます。

 格差解消の観点からも、公的分野に市民を雇うことが重要で、とりわけ介護・医療・保育などにおいて公的労働を拡大していくことが区の果たすべき役割です。年々更新している基金を、そういったことにこそ活用すべきです。

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