2016年03月25日発行 1421号

【「制度的に居住継続は不可能ではない」 住まいの安定を求める避難者の追及に復興庁が回答】

 都営住宅などの避難者でつくる「キビタキの会」は3月7日、避難先にとどまる人たちの住まいの安定を求めて復興庁・内閣府と交渉した。

 交渉のポイントは、福島県が昨年12月に発表した区域外避難者への「総合的な支援策」の評価をただし、国としての責任と実効性ある施策を明らかにさせること。

「何もかも奪うのか」

 「県の支援策で住まいの安定は確保できると考えるか」「家賃補助(上限3万円)は妥当と考えるか」の問いに、復興庁は「福島県がまとめた施策なので国としてどうこう言えない」と繰り返す。内閣府も「制度の実施主体は県。国は県の判断を覆せない」と責任逃れに終始した。

 福島市から避難している4児の母、岡田めぐみさんが問う。「県の支援策の枠組みに当てはまらない人が多い。この人たちを見捨てるのか」。交渉に参加した十数人の避難者中、家賃補助の対象になる人の挙手を求めると、わずか1人。それでも復興庁は「所得の低い方には一定の効果がある」と言い張った。

 神奈川や京都の避難者もかけつけ、次々マイクをとる。「5年前にバラバラにされた私たちを、今度は住宅の問題でまたバラバラにするのか」「国策として推進して事故が起きたのだから、国として責任をもって救ってください」「今の場所に住めなくなったら、どこへ行けばいいのか」

 原発離婚≠オたという女性が怒りをほとばしらせた。「母子避難者は、子どもを福島に帰して被曝させるか、子どもの命と将来を守るために離婚するかの選択を迫られている。何もかも壊し、何もかも奪うつもりか。子どもにどう言えばいいのか。出て行けって言われたから、野宿するしかないよって言うのか」

東京都との交渉へ

 福島県の支援策で救済されない人には来年4月を待たず前もって対応策を講じよ、との要求に、復興庁は「みなさまの要望を聞く場を来年3月までにも継続して持つ」と回答。都営住宅への居住継続について「制度的には目的外使用のような形で住み続けることが全く不可能ということではない」と述べた。また、阪神大震災の際に被災自治体がURと20年間の賃貸住宅使用契約を結んだことを指摘すると、「そういう例があることを伝える」と応じた。

 キビタキの会は4月にも東京都と交渉を持つ。

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