2016年05月06日・13日発行 1427号

【みるよむ(396) 2016年4月23日配信 イラク平和テレビ局in Japan 女性の権利と自由を要求する―イラクの国際女性デー】

 2016年3月8日、サナテレビはこの日世界中で取り組まれた国際女性デーについて市民にインタビューを行った。

 現在のイラクでは女性の人権は著しく侵害されている。「イスラム国」はヒジャブ(ベール)の着用の強要などの日常生活における抑圧ばかりか、女性を奴隷化して人身売買し、レイプ、殺害などを平然と行っている。イスラム教シーア派の宗教政治勢力を権力基盤とするアバディ政権も女性の人権など守る気はない。

 イラクの女性は自らの人権を獲得するために立ち上がっている。インタビューの最初に登場する女性は「イラク女性は『イスラム国』によって住む所を奪われ被害を受けた女性として、声を上げ、問題を提起する重要な役割を担うようになってほしい」と訴える。

 「タハリール(解放)広場で、女性の自由、男性との同権を要求するすべての革命的な女性に特別のあいさつを送る」と語る女性、「女性の権利を要求し、女性の権利を守り、置き去りにされている女性を根絶するための法律の制定を要求する」と主張する女性もいる。イラクの女性は一方的に権利を抑え込まれているのではない。

メディアが伝えない主張

 世界の主要メディアは、女性に対する人権抑圧や被害を部分的には伝えるが、このような女性の解放を要求する運動や主張はほとんど報道しない。ある女性が「サナテレビを通じて、私たちはイラクと世界の女性に3月8日の国際女性デーのお祝いをしています」と語るように、サナテレビは女性の闘いを伝え、広げる貴重なメディアといえる。

 日本でも、安倍政権・自民党は、基本的人権の主張を「行き過ぎた個人主義」「利己主義」と攻撃し、憲法24条の「個人の尊厳と両性の平等」の原則まで骨抜きにしようと狙っている。グローバル資本の利益を守るために女性の人権を攻撃する姿は、イラクの政府やもともとグローバル資本の意図に沿って作られた「イスラム国」と全く同じだ。

 「女性として声を上げることによって、私たちは改革を要求し、政治の中で女性の役割を発揮する」と訴えるイラクの女性の声は、日本と世界のすべての民衆の闘いに通じる。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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