2016年05月06日・13日発行 1427号

【避難者・支援者の連帯で裁判勝利 ひとりも路頭に迷わせない%ャいを うつくしま☆ふくしまin京都代表・奥森祥陽さん】

 東京電力・国の責任を問う原発賠償京都訴訟はヤマ場を迎え、避難用住宅問題も重大局面だ。避難者と支援者の連帯で取り組んできた「うつくしま☆ふくしまin京都」奥森祥陽代表に現状を聞いた。

訴訟の現状

 被災者への完全賠償を実現する取り組みは、「うつくしま☆ふくしまin京都」として早い時期から取り組んできました。2011年9月「避難する権利と賠償を求める集い」を開き、12月には大阪・京都の弁護士とともに「原発賠償説明会&相談会」などで裁判への参加を呼びかけました。

 京都では13年9月集団提訴が行われ、翌月には「原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会」の立ち上げ。同会は、これまで13回の期日に大法廷を傍聴者で満杯にしようと、毎回多くの団体・個人に支援を呼びかけてきました。

 秋には専門家証人と原告全世帯への証人調べが行われ、来年3月にも判決が出るという展開です。西日本では京都の判決が一番早く出ます。この水準が全国の訴訟に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。何としても勝利判決をかちとるために、4月24日に支援する会第2回総会を行い、京都でさまざまな社会運動を進める3人の方に共同代表になっていただきました。ありがたいことです。

連帯を築く努力

 私たちの避難者支援連帯運動の特徴は、避難生活にかかわる様々な問題や課題を解決・改善するために「うつくしま☆ふくしまin京都」を母体に、重層的な活動を展開してきたことです。

 京都での支援運動の始まりは、私自身が事故直後に福島県会津若松市の避難所へ支援に行ったことがきっかけ。京都府内に多くの人が避難してきていることを知り、11年6月に「避難者の集い」を開催したことがスタートです。当初は避難者がどこにいるかもわからず、僅かな手がかりを頼りにチラシのポスティングをしたり、福島やいわきナンバーの車を探したり…。

 2回目の集いでは、避難ママから放射能汚染がれきの受け入れや「食べて応援」に対する批判や不安の声が出され、市民自らの手で放射能測定を行う市民測定所の呼びかけに発展。12年5月には関西初の測定所を京都に開設しました。

 さらに、測定所に関わった避難ママから「放射線被ばくによる健康への不安」が提起され、医療問題研究会のドクターにもお世話になって「避難者こども健康相談会きょうと」の開催につながってきました。健康相談会は現在も年2回開催されており、地元の大学の協力が得られるまでになっています。

 こうした運動の積み重ねが、多くの避難者の信頼を得ることにつながっていると思います。そこが京都の強みですね。

直面する問題

 避難用住宅の打ち切り問題ですね。福島県は昨年末、17年3月末(京都府・市は入居から6年)で「みなし仮設住宅」の無償提供を打ち切り、県独自の支援策に移行すると発表しました。週刊MDSでも報道されたとおり、県の支援策は全く不十分なものです。区域外避難者の住宅提供打ち切りは、帰還困難区域を除く避難指示区域の17年3月末解除、18年賠償打ち切りと連動しており、国と福島県による帰還強要=被ばく強要政策に他なりません。

 私たちは、打ち切り撤回署名を全力で取り組みながら、この2月には京都市内4か所で住宅問題相談会を開催し、今後の取り組みについて議論してきました。母子家庭の方は「県の支援策が切れたら住宅費全額を負担することができないので民間賃貸住宅には移れない。公営住宅が当たるまでは動けない」、家族避難の方からは「そもそも県の支援策に該当しないし、公営住宅の入居資格もない。どうしろというのか」など多くの不安の声が寄せられました。

 私たちは、ひとりも路頭に迷わせない≠合言葉に、福島県や避難先自治体との交渉を精力的に取り組むとともに、訴訟も視野に入れて動いていくつもりです。

 今秋には住宅問題の公聴会を開催し、訴訟も含めた方針を確認することになると思います。ぜひとも全国のみなさんのお力添えをお願いします。



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