2016年05月06日・13日発行 1427号

【ノーモアJR尼崎事故 生命と安全を守る4・17集会 遺族・市民・交通労働者がともに/JRの変わらぬ無責任体質を批判】

 4月17日、JR尼崎駅前の小田公民館で「ノーモアJR尼崎事故 生命と安全を守る4・17集会」を開催した。107人の死亡者を出した事故からすでに11年が経過している。しかし、JR西日本は事故の責任を取るどころか、山崎正夫元社長の裁判と元3社長の裁判の無罪判決をいいことに、事故の原因を自ら明らかにしていない。

 集会では、国労組合員から「歴代社長の裁判の幕引きを待っていたかのように『儲ける』スローガンの復活、『増収活動』の強要、契約社員等非正規労働者の拡大(現在2200名)、運転士の労務管理強化や保線電気点検業務の省略・外注化などが現場で進行している」。また、「労働者個人に責任を押し付ける労務管理が復活し、事故や異常時を無視した要員削減で安全切り捨てが際限なく行われている」と報告された。

 娘を亡くした藤ア光子さんは「遺族に対し元社長は『未だにお辛い思いをしておられる』と言った。私は、何を言うか!10年たてばより一層悲しみやさみしさが募るのに、この社長は『未だに』という言葉で遺族の気持ちをア逆なでしている」「1月から事故現場の工事が始まったが私は『現場破壊を許さない』というゼッケンをつけて抗議した。JRは、『(神主が来るから)遺族のゼッケンを外してくれ』と言ってきた。遺族の思想信条の自由を認めないのがJRなのだとびっくりした」とJRの体質を批判。「多くの人を事故現場に案内するたびにわかってくださる。先日東北の被災地に行ったとき、人びとはここで亡くなったんだという思いを実感した」と現場保存の重要性を訴えた。

 今後の活動として、4月23日「組織罰を実現するために」の題で講演とシンポジウムを開催し、「組織罰を実現する会」の発足を予定している。

 藤アさんは「業務上過失致死傷罪は直接かかわった人だけが有罪になり、会社の責任者はすべて無罪とされてきた今の刑法では事故の責任を問うことができない。原発事故にしても、笹子トンネル崩落事故にしても、だれも責任を取っていない。23日の集会にはトンネル崩落事故で息子さんを亡くした方も参加される。ともに遺族として支えあい、責任追及の方法を考えていきたい」。安全を無視し利益追求第一とする今の会社のあり方に対し、多くの事故の犠牲者とのつながりを広げながら闘い、「『組織罰』を作ることに目標を見つけて頑張ろうとしている」と決意を述べた。

 参加者はその後、事故現場までデモ行進し、献花した。

 公共交通で働く労働者と市民、事故犠牲者が顔そろえる「ノーモアJR尼崎事故 生命と安全を守る」集会の意義は大きい。来年は「国鉄分割民営化」30年という節目の年を迎える。公共交通再生の課題はなお遠いが、引き続きそれを求めて取り組みたい。

(集会実行委員会呼びかけ人・JRに安全と人権を!株主市民の会 桐生隆文)

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