2016年05月20日発行 1428号

【1428号主張/改憲勢力は少数派 参院選へ/共闘をもっと深く 広く】

戦争法廃止署名1200万突破

 5月3日、東京・有明防災公園で開かれた憲法集会に5万人が集った。昨年の5・3集会(横浜)を1万3千人上回る。同じ日、大阪の2万人総がかり集会など全国各地で行動が繰り広げられた。

 戦争法廃止を求める統一署名は1200万筆を超えた。街頭で、地域で、多くの市民と対話を重ねながら積み上げたこの署名こそ、ステージに4野党党首が勢ぞろいし、手を取り合ってアピールする場面を生んだ原動力である。

 スローガンは「明日を決めるのは私たち」。自らを憲法の上に置き、勝手に憲法解釈を変えて「私が最高責任者」と居直る“俺様首相”“お坊ちゃま独裁者”から主権者市民が自己決定権を取り戻す。決意は高らかに宣言された。

 リレートークでは、朝鮮高校生による差別・ヘイトスピーチ批判、TPP(環太平洋経済連携協定)阻止や労働法制改悪阻止の訴えも。テーマは、憲法が保障するあらゆる人権分野に拡大した。

憲法守らぬ総理はやめろ

 昨年5・3集会に始まった「2015年安保」の闘いは世論を確実に変えた。

 NHKが4月に実施した世論調査の結果を報じている。憲法改正「必要」27%、「必要ない」31%で、昨年同時期と比べて「必要」1ポイント減に対し「必要なし」は6ポイント増。NHKは07年から5回、同じ調査をしてきたが、「改正必要なし」は今回最も多くなった。「改正必要」は13年の42%から15ポイントの激減だ。9条改憲については「必要なし」が40%で、「必要」を18ポイントも引き離した。

 もう一つ、テレビ朝日『報道ステーション』が伝えた事実を紹介しよう。29年前の5月3日、朝日新聞阪神支局が襲撃され、当時29歳の記者が殺害された。今年、支局に設けられた祭壇には、昨年より200人多い540人の市民が訪れ、「私たちの生きる権利、話す権利が大事にされないといけない」「このごろ言論の自由が危ないとひしひし感じる」と話した。

 そう。改憲反対の声の高まりは何より、アベ政治が憲法の理念からかけ離れた人権侵害をまかり通らせていることへの危機感に由来する。

 表現の自由だけではない。日本の子どもの6人に1人は貧困のもとで暮らす。ひとり親世帯の貧困率54・6%は先進国で最悪。「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」制定された子どもの貧困対策法(14年施行)とは全く裏腹の現実がある。

 「生命、自由、幸福追求に対する権利」(憲法13条)をことごとく踏みにじる安倍政権は退陣させる以外ない。

もう一つの世界≠ヘある

 パナマ文書は富裕層の税逃れの実態を暴いた。タックスヘイブン(租税回避地)を通じた多国籍企業からの法人税収ロスは年間26兆円に上り、日本は経済規模が世界の1割として年3兆円近い税金を取り損ねていることになる。

 ここにメスを入れれば、貧困と格差の闇に閉じ込められた若者たち、子どもたちを救い出すことができる。

 戦争と新自由主義からの転換は可能だ。そのことを人びとに語りかけ、参院選勝利・安倍打倒の共同行動をさらに広げよう。

 (5月6日)
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