2016年05月20日発行 1428号

【沖縄辺野古新基地阻止 土砂搬出反対の連帯訪問 島ぐるみ≠ゥらオールジャパンへ=z

全国から土砂搬出反対

 名護市辺野古キャンプ・ワブゲート前の座り込み現場には、工事中止後も県内外から支援に訪れる人びとが絶えない。

 4月18日には、新基地建設の埋め立て土砂搬出地の市民団体でつくる「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」のメンバー38人が現地を訪れた。

 辺野古の新基地建設では、瀬戸内海や九州など西日本から約2062万立方b、東京ドーム17個分という大量の埋め立て土砂の採取が予定されている。同協議会はどの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない≠ニして、辺野古新基地反対運動に連帯する形で昨年5月に奄美大島で発足。瀬戸内・門司・天草・五島・奄美・徳之島など採取地の市民団体がつながり、土砂採取計画の撤回を求める署名活動や地元での学習会・講演会をはじめ、防衛・環境各省への採取反対の申し入れや砕石企業への働きかけなど強力な動きを進めている。現在12県18団体が加盟し広がりを見せている。

 ゲート前で連帯あいさつした同協議会共同代表の大津幸夫さん(自然と文化を守る奄美会議)は「安倍政権は行き詰っている、勝つためには現場の闘い以外にない。奄美が日本に復帰した時、思想信条や党派を超えて島ぐるみで復帰を勝ち取った。この教訓を再現し沖縄の島ぐるみ運動をオールジャパンに広げていくことが私たちの大きな闘い。確信をもって闘おう」。

 同共同代表の阿部悦子さん(環瀬戸内海会議)も「今日この場に来られなかった人のことを思っている。今回の参加人数は38人だが、実際は百倍の人びとがいる。昨年9月に訪れた際、これまで『片思い』だった運動が搬出反対の運動を始めたことで『両思い』になるかもしれないと伝えたが、私たちは運命共同体だと感じている。この国の運命を担って、辺野古の海の埋め立てを止めたいと切に願う」と力強いメッセージを発した。

 午後には、名護市内で同協議会と辺野古現地で反対する市民らによる学習交流会が行われ、「沖縄と全国が連帯・連携し、埋め立て用土砂搬出、辺野古新基地建設ストップの声を日本全土に響かせる」とした決議案が採択された。

 この日は毎月辺野古を訪れているZENKO沖縄連帯ツアーメンバーも訪れ、「戦争法廃止と辺野古新基地反対の街頭署名行動で参院選に向け情勢を変えていきたい」と連帯表明。県外からの相次ぐ支援に、辺野古連帯の輪の力強さが示された。

4・28屈辱の日

 「屈辱の日」から64年目の4月28日。日本本土に復帰してもなお、広大な基地が居座り続ける状態で沖縄の「屈辱」は今も現在進行形だ。

 1952年の4月28日、サンフランシスコ講和条約発効後、日本本土は連合国軍の占領が終結し主権を回復したが、沖縄は同講和条約第3条によって本土からは切り離され米軍統治下に置かれた。沖縄では「屈辱の日」とされる。現在の過重な基地負担はこの日を境にはじまった。

 4月28日の県民集会(那覇市県民広場)には300人が参加。辺野古新基地をはじめ、現在の沖縄を「基地依存」と表記した事実誤認の教科書検定、政府による「先住民族」撤回発言問題など沖縄を襲う相次ぐ出来事に参加者が怒りをぶちまけ、「本物の主権を取り戻そう」と不条理を絶つ決意が示された。

海上フロートの撤去

 4月30日午前7時過ぎ、沖縄防衛局は辺野古沿岸部の立ち入り禁止区域を示す海上の浮具(フロート)と汚濁防止膜(オイルフェンス)の撤去を開始した。辺野古訴訟の和解に基づく政府・沖縄県協議会作業部会で先月来沖縄県が要請してきたものだ。翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事も「一定の評価をしている」とし、今後も「ブイやアンカーブロックの撤去、臨時制限区域の解除を引き続き求める」と述べた。

 新基地建設に反対する市民たちは30日、過去有数の規模のカヌーや船で海上をパレードし、「勝利への前進」と喜びをかみしめしつつ「信用できない」と警戒感ものぞかせている。実際、国は県が要求するブイや海底のコンクリートブロック撤去、臨時制限区域解除には応じていない。今回のフロートの撤去作業自体が政府のパフォーマンスとの見方もある。

 翁長知事の取り消しの効力が復活した今、国は工事着手前の状態に戻すのが筋だ。市民らは「本当の中止につなげたい」と決意を新たにしている。

(A)



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