2016年05月27日発行 1429号

【京都で第5回公聴会開く/低線量被ばくの健康被害#ュ信】

 4月24日、京都市内で「原発事故による低線量被ばくの健康被害を考える第5回京都公聴会」が行われた。うつくしま☆ふくしまin京都―避難者と支援者のネットワーク・佐藤和利さんに報告を寄せてもらった。

 第5回公聴会のテーマは、原発賠償訴訟の最重要の争点である「低線量被ばくの健康影響」です。会場のハートピア京都には関心をもつ市民70人余りが参加し、福島や三重からの参加もありました。

 最初に、3月福井県高浜原発の運転停止仮処分を勝ち取った井戸謙一弁護士が「司法から福島原発事故・低線量被ばくを考える」と題して講演。

 年20_シーベルト基準が適用される福島の住民は、年1_シーベルトを超える線量が確認された公園への立ち入りが禁止される福島以外の国民とは違う法律を適用されている。福島県内では放射線管理区域(1u当たり4万ベクレル)以上の土壌汚染があちこちにある。国は情報を隠ぺいし、被害者に声を上げさせないなど、過去の公害事件で繰り返されたのと同じことが展開されている。被害者が声を上げることができる環境をどう作っていくのかが課題だ―と強調し、被害隠しで「フクシマを住民対策のモデルケースにさせてはならない」と訴えました。

 関西在住の避難者2人が自身の体験を証言。千葉県松戸市から大阪市に避難した女性は、福島県以外の汚染の高さと子どもたちのつらかった体験を語りました。

 福島県浪江町から兵庫県三木市に避難した菅野みずえさんは「20日前に甲状線がんの手術をしたばかり。事故後のスクリーニング検査で雨に濡れながら3時間並んだ。10万cpm(1分あたりの放射線計測回数)のガイガーカウンターが振り切れる被ばくをしていた。福島の病院はがんを被ばくの影響と考えるなと言ったが、10年前は婦人検診で何の疾患もなかった私だ。事故の恐ろしさはこれから出てくる。決して終わったことと思わないでほしい」と訴えました。

甲状腺がん家族会支援

 福島県三春町に住む写真家の飛田晋秀さんは、甲状線がんの手術をした子の親と出会い、今年3月の「311甲状腺がん家族の会」結成に至った経緯を報告。「子どもの前でがんを宣告されたショック。でも親戚にも言えない雰囲気。これからどうなるか不安。家族会ができ、ようやく孤独感から救われた」という親たちの思いが語られました。

 飛田さんは「私の身の回りでも突然死が増え、ただごとではない。私も体が悪くなってきているが、カメラを持てる限り告発し続ける」と決意を述べました。

 多くの感想が寄せられました。福島の現状について「現地の人がどんなに困っているか、人に言えないか、再認識しました」、避難者の証言には「甲状腺がんを患いながらも頑張る姿に頭が下がりました」「辛いけれど、聞かなければならないと思いました」、自らの関わりについては「少しでも力になれることは何かと考え行動していきたいと思いました」「家族の会、支援していきます」などです。参加者それぞれにとって有意義な集会になりました。

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