2016年06月03日発行 1430号

【1430号主張 沖縄 女性殺害事件の元凶 命守らぬ安倍を参院選で倒す】

怒りは基地と日本政府に

 「被害者は私だったかもしれない」「言葉がない。それでも怒りにして伝える必要がある」―沖縄・うるま市の米軍属女性殺害事件に抗議する「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」会見での言葉だ。沖縄は深い悲しみに包まれ、怒りは米軍に対してとともに基地を押し付ける安倍政権に向けられている。

 5月19日、元米海兵隊員逮捕後、政府は「抗議」し米側に申し入れた。だが、本音は「タイミングは最悪だ」(政府関係者、5/19時事)、「タイミング的にまずい。大変なことになった」(閣僚、5/20朝日)にある。オバマ広島訪問で日米同盟強化をうたい沖縄県議選、参院選につなげる思惑だったからだ。そこには、20歳のかけがえのない命が理不尽に奪われたことへの想像力や痛みは微塵もない。

 1972年の復帰から昨年末まで、米軍関係者の凶悪犯罪は574件(殺人34人、強姦147人)。基地がなければこの被害はなかった。3月にも準強姦事件が起き、政府は再発防止を求め米軍は謝罪し約束したが、2か月も経ずに新たな犠牲が出た。

 現地では直ちに抗議が広がる。22日には女性団体などが呼びかけ北中城村(きたなかぐすくそん)の米軍司令部ゲート前で2千人が追悼と沈黙の抗議行進。怒りは頂点に達し、全基地撤去しかないとの声が収まることはない。

命を顧みないアベ政治

 5月23日、翁長(おなが)沖縄県知事は安倍首相と面談し「再発防止など何百回も聞かされたが、何も変わらない。オバマ大統領と直接話す機会を」と強く求めた。安倍は答えず、後の記者会見で菅官房長官が「安保・外交は中央政府から協議すべき」と拒否した。

 決して許されない今回の事件。それは、沖縄の現実を突きつけ、人の命など全く顧みない政権のおぞましい姿を改めてあらわにした。

 安倍に任せていては、命も、生活の安心・安全も、何一つ守られない。教育ローン(奨学金)返済と非正規労働に苦しむ若者は、経済的徴兵制で殺し殺される戦場へ。年金・医療・介護を削られた高齢者は早く死にたい、もう生きていたくない≠ニ嘆く。子どもの貧困、待機児童、ブラック労働。アベ政治は、沖縄のみならず日本社会全体、全世代に深刻な被害をもたらしている。憲法を破壊し命を奪うアベ政治をこれ以上続けさせるか、どうか。いますべての市民に問われている。

参院選勝利に全力を

 6月22日といわれる参院選告示まで1か月を切った。

 全国32の参院1人区で野党共闘は確実になり、衆参ダブル選の場合も野党4党は「できる限りの協力」を合意。1年前には誰も予想しなかった事態を市民が作り出した。

 一方、政府とその広報と化した大手メディアは、デマを流し、あきらめを誘導する。参院選勝利に向け緊急に必要なことは、6・5国会大行動や署名など運動を一層拡大し、地域から市民一人ひとりに政策を届け、対話し、展望を伝えることだ。

 戦争法・改憲、沖縄新基地、貧困と闘う比例区の社民党・福島みずほ予定候補、選挙区の野党共闘候補、改憲反対候補への支持を全力で広げよう。7月参院選で自公とおおさか維新に審判を下し、安倍を退陣させよう。

 (5月23日)
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