2016年07月29日発行 1438号

【1438号主張/東京都知事選の重要な意義/改憲勢力への反転攻勢】

参院選の結果に危機感

 東京都知事選が7月14日、告示された(31日投開票)。

 告示2日前、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが出馬表明。記者会見で「参院選の開票状況を見て、戦後70年間の平和な時代の流れが変わり始めたと感じた。憲法『改正』が射程に入ってきた。流れを元に戻す力を東京から発信したい」と語った。

 立候補は鳥越さん自身の決断だが、その背後には、改憲4党が国会両院で改憲発議可能な3分の2超を占めるに至ったことへの広範な人びとの危機感がある。「(安倍内閣は)戦後最悪の内閣。自民改憲草案には、緊急事態で首相は憲法を停止し政令を別に作れるとある。かつてヒトラーがやったことだ」。こう断じる鳥越さんの挑戦は、改憲勢力に対する反転攻勢の大きな足がかりとなる。

もっと深く市民の心に

 他の有力候補はどうか。

 自公推薦の増田寛也元総務相は最近まで東京電力の社外取締役を務めた。都は東電の第4位の大株主。トップに就けば、柏崎刈羽原発の再稼働にOKを出すだろう。13日の合同会見では「安全性が確認された原発を動かす政策は認められるべき」と述べている。

 自民の推薦が得られず無党派≠売りにする小池百合子元防衛相。「日本会議国会議員懇談会」の副会長を務める正真正銘のタカ派≠セ。「自主憲法制定」を叫び、核武装を肯定し、靖国参拝を繰り返す。合同会見では「憲法問題は自民党で議論されている流れでいい」と自民改憲案推進を鮮明にした。

 野党共闘は参院選32の1人区で11勝と大健闘した。都知事選でこの成果をさらに前進させ、野党共闘を一層強化しよう。そのためにも、与党とメディア一体の「争点隠し」による改憲3分の2に反撃し、もっと深く広く地域を変革していくことが必要だ。

 アベノミクス、新自由主義政策により貧困と格差の闇にとらえられた人びと、とりわけ若い世代に向けて「当たり前に働いて当たり前に暮らせるもう一つの世界≠つくることはできる」「一人ひとりの行動、一人ひとりの力がもう一つの世界≠ヨの道を開く」と訴えかけよう。「毎日のことでいっぱいいっぱい。憲法って生活から遠い存在。それどころじゃない」(37歳・女性、7/5高知新聞)と言う人たちと悩みを分かち合い、共に変革をめざして歩み出すことを呼びかけよう。

民主主義実現する闘い

 参院選投票日の朝、本紙コラム『言いたい放題』の執筆者、元国鉄運転士の佐久間忠夫さんが2年半の闘病生活の末、旅立たれた。

 絶筆となった号(14年4月4日付)でこう語っている。「日本人には、一人ひとりが考え行動するっていう経験が少ない。命が大事だという運動を一人ひとりがどれだけ続けていけるか。今動かなくちゃ、動く時はねえよ。これからは本当の民主主義を自分たちの力で実現しないとな」

 都知事選も本当の民主主義を実現する闘いだ。鳥越さんは新基地建設反対の運動を支える「辺野古基金」共同代表の一人。東京都と沖縄県の知事がタッグを組み、政府の沖縄差別政策に立ち向かっていくことも可能になる。

 全国から東京都知事選を闘おう。

 (7月17日)
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