2016年08月05日発行 1439号

【子どもの居場所を考える学習交流会/分断・選別・排除ではなく安心を=z

 7月16日、大阪市の生野区民センターで「子どもの居場所を考える学習交流会」をなかまユニオン教職員支部とともに開催しました。教員、不登校の子どもの親、イベントで配ったチラシを見て参加した市民の方などの参加で、活発な議論になりました。

 フリースペースと教員の共催で学習会をするのは昨年5月に続き2回目です。今年は「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」(通称「不登校対策法案」)が先の国会に提出され、継続審議になっています。不登校の子どもだけの問題ではなく、学校教育そのものやすべての子どもの権利にかかわることを共有したいと思い、学習会を企画しました。

「不登校対策」ビジネス

 学校の休み明けに子どもの自殺が増え、小中学生全体の数は減っているのに不登校の子どもは増えています。それなのに、法案は不登校を子どもの側の問題とし、学校のあり方は問いません。これでは学校で子どもたちが感じているしんどさは変わりません。

 法案と文科省の「不登校児童生徒への支援に関する最終報告案」を見比べると良く似ているだけでなく、安倍政権が本当にやりたいことが見えてきます。それは、「子どもに合った支援」を口実とした、子どもの分断、選別、排除です。そのために子どもの状況を継続的に把握し管理をすること、個人情報も含めた子どもの情報を警察などと共有することです。文科省ではこの情報共有のために「児童生徒理解・教育支援シート」などを法案が通る前から具体化しようとしています。

 また、法案には民間の団体との連携がうたわれ、企業の参入による教育の民営化に拍車がかかり、公教育つぶしにつながると危惧しています。学習会では、実際に法案が通る前提でフリースクール事業≠新たに始める企業があると報告され、ビジネスチャンスとしかとらえられていないことに怒りを感じるという声も出ました。

 論議の中で「子どもの意見をアンケートで集めて行政に検証させる」「意見が出せる子どもばかりではない。言葉にならない子どもの意見をどう聞きとるか」といった意見が交わされ、子どもの声を聞き、具体的に何をしていくかを考えることで、大人が立場を超えてつながれると感じました。教員からも「不登校の人、親などともっとつながっていく必要を感じた」という感想がありました。

 安倍政権の教育政策の問題点を共有し、法案を廃案に追い込むだけでなく、子どもが安心して話せる居場所≠広げることをこれからもともにやっていきたいと思います。

 7月31日の2016ZENKO分野別討議「不登校は命の非常口―地域で共に生きる居場所づくりをひろげよう」(9時30分〜エルおおさか)にぜひご参加ください。

(フリースペースひまわり・小川裕子)

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