2016年08月12日発行 1440号

【みる…よむ…サナテレビ407 2016年7月23日配信 イラク平和テレビ局in Japan/アバディ首相、市民を甘く見るな!】

 イラクでは、アバディ政権に対する市民の抗議デモが続いている。政府は治安部隊を出動させ、マスコミを利用してデモを抑え込もうとしたが、市民はやめる気など一向にない。サナテレビは首都バグダッド中心部にあるタハリール広場で声を上げ続ける市民にインタビューした。

 タハリール広場でのデモは9か月も続いている。イラク経済は石油価格の下落によって厳しいものとなり、アバディ政権はそれを口実に緊縮政策を押しつけている。国営企業の労働者の賃金が何か月も未払いになり、公務員の賃下げが行われている。

 ある市民は、大卒で薬学の学士号を持っているがまともな職に就けていない。アバディ政権の閣僚たちを「アバディ(首相)も、バハ・アラージ(副首相)も、オサマ・ヌジャイフィ(前国会議長)も、みんな泥棒だ」と非難する。アバディは自分の子どもたちをイギリスのロンドンに住ませている。そんなことができるのはアバディ自身が大金持ちだからだ。バハ・アラージは汚職で悪名高いサドル派の政治家、オサマ・ヌジャイフィも同様の汚職政治家である。

 政府は市民の当然の抗議行動を弾圧し、マスコミは政府と一体となって市民を攻撃する。ある市民は「イラキアやアンワール、マサール、フォラート、アシャーキアといった衛星放送テレビは宗派主義なので、ここに取材に来てほしくない」と批判する。イラキア・テレビ局はタハリール広場のデモを取材し、「デモ参加者は酔っぱらっている」と報道したのだ。

 イラクの政治状況は日本と似ている。汚職や公金使用を平然と行い、貧困と戦争の政策を推進して恥じない安倍政権。そして、戦争反対の動きや政府を批判する市民の意見を報道しないNHKなどマスコミもそっくりではないか。

 デモに参加している市民から、真実を伝えるサナテレビの取材に対して「イラク市民の声を伝えてくれるサナテレビに感謝したい」という声が上がる。インタビューの最後に登場する女性の発言が印象的だ。彼女は政府当局に「抗議行動を甘く見るな」と警告を発した。社会を変えるのはこうした市民たちだ。

 闘いを進めるイラクの市民とともに歩みたいと思う。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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