2016年08月19・26日発行 1441号

【一人たりとも路頭に迷わせない 住宅打ち切りで避難者交流会】

 区域外避難者のみなし仮設住宅打ち切り撤回・住まいの安定を求める交流会では、全国の避難者を一人たりとも路頭に迷わせないよう、福島県と国、受け入れ自治体に強く求めていくことが確認された。

 議論のポイントとなったのは、福島県の支援策の評価。県の支援策は、避難先にとどまろうとする者、今の住宅に住み続けようと希望する者を切り捨てる内容で、災害救助法の適用を一方的に打ち切っておきながら、自立・再建のための支援策になっていないことに批判が集中した。

 また、東京都や埼玉県、新潟県などでは公的住宅への入居優先枠が新たに設けられるなど、有償ながら一定の支援策は示されている。しかし、対象からの夫婦避難世帯や独身者の除外、生活保護基準並みの収入要件の設定などで該当者が限定され、このままでは大多数が路頭に迷うことが明らかにされた。

自治体への働きかけを

 参加者は「京都は来年3月で一斉打ち切りではない。入居から6年間までと特定入居を認めているのだから、他自治体でもできるはず」「新潟県は福島県の支援策の収入要件よりかなり緩やかな基準を設定したのだから、他でも福島県の基準に縛られることはない」など、自治体の動きの共有を訴えた。

 当面は、ひだんれん・原訴連が取り組む8月9日の福島県交渉に「区域外避難者が参加して訴えよう」(京都、東京、神奈川)と議論。当事者の声の可視化が強調された。

 自治体決議・自治体要請行動に取り組むことも提案された。「自公にも働きかけて自治体決議を上げた。自治体交渉をバックアップする力に」(千葉)、「受け入れ自治体も困っている状況、粘り強く交渉していく」(京都)

国連人権理事会へ訴えも

 住宅支援打ち切りは生存権を脅かし避難の権利を否定する。国連人権理事会へのアクションなど、国際問題として避難当事者が訴えていく必要性も議論された。

 議論の最後に、以下の決議案を確認。

 (1)全国にいる区域外避難者を一人も路頭に迷わすな。今の住宅に住み続けられる支援策を。希望する避難者全員の公的住宅を確保、入居の際の収入要件の撤廃を。(2)福島県は住宅支援策を抜本的に見直せ。復興庁は子ども被災者支援法に基づく避難の権利を実体化せよ。(3)避難指示解除による被ばくの強要反対。損害賠償を継続せよ。(4)ひだんれん・原訴連・避難の協同センターなどと連帯して、自治体決議・自治体要請行動に取り組み、避難者救済を勝ち取ろう。(5)「居住に対する権利」国連特別報告者の日本への招聘を実現させる。(6)国連人権理事会へのNGOレポートの提出と避難者発言を実現する。

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