2016年10月28日発行 1450号

【1450号主張 戦闘の既成事実化で改憲狙う 南スーダン派兵を許すな】

 安倍政権は11月中旬、陸上自衛隊第9師団(青森)の南スーダンPKO(国連平和維持活動)への派兵を狙う。南スーダンは内戦状態だ。派兵部隊は、戦争法に基づく新任務の付与で、武力行使から殺し殺される部隊となる危険性が一気に高まる。9条改憲先取りの既成事実化だ。自衛隊の継続派兵を許さず、即時撤退させなければならない。

PKO原則は崩壊

 南スーダンの内戦状態は深刻だ。7月には、首都ジュバで国軍を二分する大統領派と前副大統領派の間で大規模戦闘が発生し300人以上の死者が出た。自衛隊宿営地の隣のビルでも銃撃戦が起きた。反政府勢力の前副大統領は「武力で抵抗する」(9/26)と声明を発表。もはや停戦合意などない。さらに国連安保理は、PKO部隊に「民間人保護」の名で政府軍や反政府軍に先制攻撃を認める決議(8/12)を採択している。

 自衛隊派兵の条件≠フはずの「停戦合意」「PKO部隊の中立性」などPKO参加5原則は崩壊している。自衛隊は直ちに撤退すべきだ。

 しかし、安倍首相は事態を「戦闘ではなく衝突」(10/11)と言いつくろい、稲田防衛相に至っては、自身がジュバを視察した当日(10/8)に近郊で市民21人が死亡する武力攻撃があったにもかかわらず、「ジュバは落ち着いている」と答弁。事実を頑なに認めない。何が何でも戦地である南スーダンに自衛隊を継続派兵するためだ。

改憲の突破口

 派兵の狙いは何か。自衛隊を海外で「殺し殺される普通の軍隊」に変えるために、憲法破壊の武力行使を既成事実化することだ。

 新任務は、他国部隊等を救援する「駆け付け警護」と他国部隊との「宿営地の共同防護」だ。使用する武器も限定されない。すでに非公開の実戦訓練を開始。陸上自衛隊研究本部報告では、実弾での至近距離射撃や車上、夜間射撃など市街戦で敵を殺す訓練を提案している。また、11月に派兵される部隊はこれまでの施設科(工兵)部隊中心ではない。戦闘任務の普通科連隊だ。重火器で武装し、戦傷・戦死者を想定し医官、救急救命士も加えた「駆け付け警護即応チーム」も設置される。

 安倍は、戦争法に基づいた新任務を閣議決定し、現地で発動させることで自衛隊の武力行使をもくろんでいる。派兵部隊が政府軍や反政府軍と戦闘すれば、戦後初めて自衛隊が海外で「敵軍」と交戦することになる。現実の戦闘によって憲法否定の実態をつくり出し、9条改憲の突破口にしようとしている。

共闘で新潟知事選勝利

 改憲先取りの派兵を焦る安倍は決して強くない。10月16日新潟知事選では、原発再稼働反対、TPP反対を掲げた米山候補が市民と3野党の共闘で自公推薦候補に勝った。安倍暴走への広範な怒りの表れだ。新任務付与の閣議決定も、臨時国会での追及を恐れ10月中から11月に先送りした。

 総がかり行動実行委員会は10・30青森現地行動を呼びかける。政府・防衛省への「派兵するな」「新任務の閣議決定するな」のファクス要請に取り組もう。ZENKOの「沖縄・改憲阻止緊急署名」、10・23、30団結まつり成功と結び、派兵阻止の闘いを大きく広げよう。

 (10月16日)
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