2016年12月16日発行 1457号

【原発事故被害者4団体が福島市で集会 被害者を切り捨てるな 住まいを奪うな 避難者と福島在住者がともに】

 ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)など被害当事者4団体が呼びかけて12月4日、福島市内で集会・デモが行われた。150人が「被害者を切り捨てるな」「住まいを奪うな」と訴えた。

「知事は声を聞け」

 ひだんれんは11月28日から連日、福島県庁前で「内堀知事は避難者の声を聞け」とスタンディングアピール。

 寒風の中、立ち続けた避難者の松本徳子さん(キビタキの会)は「自民党県議に『勝手に避難した者がいつまでも何を言っているんだ』と言われ、悔しい思いをした。帰りたいけど帰れない」と絶句。「福島では多くの人が普通の暮らしをしている、とよく言う。県内の今の暮らしが果たして普通なのか。福島在住のママから、ものが言えない苦しい胸の内を打ち明けられ、励まされもした。避難者と福島在住者がともに声を上げることが大事」と話した。

 京都原発賠償訴訟原告団共同代表の福島敦子さんは「県内の方がこんなに集まってくださり、とてもうれしい。この日を待っていた。避難の権利を実現させるため、一人も路頭に迷わせないために私は頑張る」と決意を述べた。

 集会には、初参加の東京の区域外避難者や福島在住の母親の姿も。支援策の対象から外れ、行き場が決まらない女性は「アクションを起こさないと前に進めないし、それで終わってしまうと思い参加した。どうなるにせよ悔いのないよう行動したい。一歩踏み出すことができた」と語る。

垣根を越えた行動へ

 1週間前に福島市内であった避難者と帰還者・在住者の交流の場で誘われたという子育て中の女性は「今日の発言を聞いて受け入れられない福島のママもいるだろうが、松本さんの発言のように福島にいる人も被害者なんだというメッセージが伝わってきた。みんなに聞いてほしかった。参加呼びかけのメールに、避難した人とは立場が違うと返事が来た。共有は難しいが、そこを何とかしないと」「住宅打ち切りは福島のお母さんたちも考えなくてはいけないし、これから避難するとなれば賠償や被曝のことなど住宅以外の問題も考えなくては。県外と県内のお母さんが一緒にできたらいいな」。

 デモ終点では、伊達市からかけつけた母親が出迎え、東京に戻るキビタキの会一行を見送る場面も。集会は県内外の子育て世代が垣根を越えて行動するきっかけとなった。



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