2016年12月30日発行 1459号

【沖縄・福島・フィリピンを題材に語り合った/憲法を生かす写真展/ 寄稿 ZENKO兵庫・松谷 卓人)】

 11月23〜27日の5日間、兵庫県西宮市内のフレンテ・ギャラリーで「平和・くらし・人権〜憲法を生かす写真展」を開催しました。主催はZENKO兵庫が呼びかけた実行委員会です。

憲法の宝箱

 写真展開催のきっかけは、「沖縄・改憲阻止署名」を集めてきた中で、もっと多くの人々と憲法について語りあえる場をつくりたいと思ったからです。

 沖縄・福島・フィリピンなどのテーマで、憲法を語る空間をつくったことは新しい挑戦でした。

 沖縄では「平和的生存権」「地方自治」がないがしろにされていますし、原発の放射能から避難した人びとには「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」「等しく教育を受ける権利」が保障されているとはいえません。「全世界の国民が…平和のうちに生存する権利を有する」と謳(うた)っている憲法の精神を示す内容として、「海を越えて育ちあう〜子ども・青年たち」というテーマで、フィリピンの子どもたちを支援している「AKAYプロジェクトをともに創る会」の取り組みの写真も展示しました。

 これら沖縄、福島、フィリピンの写真の横には、「基本的人権」に関わる条文などを展示し、憲法が個人の尊厳を大切にしていることを伝えるようにしました。

 展示は壁いっぱいになりました。入口には「憲法の宝箱」を置き、子どもにも目をとめてもらえるようにしました。

人権を守る闘い

 また、写真展会場では、「憲法の学習会」「フィリピンの子どもたちを支援してきた若者からの報告」「余計なもんのせいで〜フクシマ・避難の町の姿〜」「沖縄・高江ツアー報告会」も持ちました。

 憲法の学習会では「憲法は生きている。当たり前のように語られないといけないですね」「憲法に環境権を加えたら環境が守られるのでなく、公害問題の解決は闘って勝ち取ってきたもの」など、語り合いました。

 フィリピンを訪問した若者は「リラ・ピリピーナ(元「慰安婦」と支援組織)の女性たちが戦争中に体験をしたことを聞いて、昔のことではなくて、沖縄での米軍による女性への犯罪とつながった。終わっていない問題だと思った」と語りました。

 沖縄高江ツアーの報告では、憲法や人権をふみにじっている現地の様子も報告されました。

 4年間福島に通ってきた木村英生さんは「避難を余儀なくされている人びとは、ささやかな日常を取り戻したいができない、戻れない現実がある。余計なもんのせいで」とお話しされました。避難者支援をしている方からは、住宅提供が打ち切られようとしていることが報告されました。国策の名もとに住民の命や生活を脅かすものに対して闘うことが憲法を生かすこと≠ニいう意味合いが深まった交流になったと思います。

マスコミはもっと

 「このようなオープンなスペースで行なうことは意義が深いですね。展示もとても目を引きました」「いい写真を見せてもらって、ここでおしゃべりできて、今の平和な世の中がこのままずっと続いてほしい。あの時代に戻ることは絶対に嫌です」「たまたま通りかかって寄らせていただきました。たくさんの写真等、準備も大変だったと思います。沖縄までは行けないので少々のカンパをさせて頂きます。マスコミはもっと沖縄のことを流すべきだと思います」などの感想が寄せられ、多くの人びとの思いがつながった写真展になりました。





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