2017年03月17日 1469号

【議会を変える 大阪府枚方市議・手塚たかひろ 市民の図書館は市民が作る】

 昨秋、枚方市立香里ケ丘図書館を建て替えるとの市の方針が突然公表された。

 同図書館は、蔵書数約9万3千冊、開架書籍は約6万冊で年間貸し出し数が42万冊を超える市内でも1、2を争う利用者の多い図書館だ。美術館建設予定だった香里ケ丘中央公園に隣接し、1979年に枚方市で最初に建設された。だが、老朽化が激しく、閲覧面積も約210uと手狭なことから、「美術館建設でなく図書館の建て替えを」が市民の声だった。

 「美術館建設ができなければ図書館の建て替えも無理」との脅しもあったことで、地域住民は建て替え計画を歓迎した。しかし、「図書館建設は専門的なもので行政の責任で行う。住民参加は考えていない。適宜、市民説明会を行う」という市民無視の市の姿勢は変わっていなかった。

 美術館建設で住民参加の必要性を学んだ市民は「図書館建設では計画段階から市民の参加を」と住民とのワークショップを要望。香里ケ丘図書館を見守る会を立ち上げた。「当局が市民の声を聞こうとしないなら、市民が対案を」の意気込みで、10月には図書館利用者アンケートを実施。「子どもコーナーは、レイアウトは、などどんな図書館がほしいのか」と毎週自主的なワークショップを積み重ねた。

 12月9、10日の市民説明会にはのべ113名の市民が参加した。見守る会のメンバーは、アンケート結果を発表し、閲覧面積拡大、子どもコーナーなど具体的な要望も突きつけた。指定管理者制度導入を前提とした市の計画案の見直し、基本設計段階での市民参加なども要望した。

 市は、市民参加の計画づくりや指定管理者制度導入見直しには、頑なに応じようとしない。しかし、自主的な市民活動に基づく市民の提案や要望を頭から否定はできず、見守る会メンバーとの意見交換も何度か実現させた。そして、開架冊数増など市民の声を一定反映させることができた。

 市は、市民の声を聞かずに設計業者選定審査会の委員を選ぶ作業に入っている。市民は、市民の意見を代弁できる委員を選出するように具体的な人名を挙げて市へ要望するところまで活動を進めている。市民の図書館を市民が作る∴モ気込みが伝わる。こうした動きに好意的でない議員も含めてすべての議員との対話活動にも着手している。

 市民参加への壁は厚いが、あきらめなければ道は開ける。美術館闘争から市民は学び確信を持った。

 美術館闘争を経て、運動の力で市民参加を目指す市政変革の運動を市民は一歩進めた。
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS