2017年07月21日 1486号

【政権支持率急降下/腐敗・傲慢の「安倍1強」に嫌悪/内閣改造ではなく退陣だ】

 共謀罪を強行し、国会閉会に逃げ込んだ安倍政権は厳しい批判にさらされている。自民党は都議選で歴史的惨敗。傲慢な政局運営を「支えた」といわれる安倍政権の「高支持率」は崩れ去った。新たなキャッチフレーズや内閣改造で挽回を図ろうとしても無駄だ。市民の怒りは独裁者安倍晋三そのものに向けられている。

敗因はTHIS?

 都議選で歴史的惨敗を喫した自民党。その敗因を一言で言い表した中谷元前防衛相の言葉がうけている。「THIS is 大打撃」―衆院議員豊田真由子(T)の「このハゲー」パワハラ。官房副長官萩生田光一(H)「加計とは面識なかった」ウソ証言、防衛相稲田朋美(I)「自衛隊としてもお願い」違法発言、元文科相下村博文(S)の闇献金ごまかし会見。

 都議選中に起きたこれらの事件が影響を与えたことは間違いない。だが、自民党の醜態、暴言はこんなものではない。かつて中谷自身、「憲法を(戦争法に)あわせる」と最悪の答弁をしたが、金田法相の共謀罪トンデモ答弁、菅官房長官の「怪文書」居直り発言、山本地方創生相「がんは学芸員」、今村復興相(当時)「東北でよかった」。

 まだある。朝鮮に差別表現を使ったことを咎(とが)められた二階俊博自民党幹事長は「落とすなら落としてみろ」とマスコミに毒づいた。党内に原因がある「自民逆風」を報道のせいだと八つ当たりする醜悪な姿をさらした。

 自民党の都議選敗因はこれらすべての不祥事を許容する安倍政権にあるのは明白だ。人権感覚ゼロであるばかりか、主権者全体に奉仕する立場にある公務員であることなど全く頭にない。こうした反人権、反憲法、反民主主義の筆頭が安倍晋三なのである。

軒並み不支持多数

 共謀罪法案強行直後の6月17〜18日にかけ、マスコミ各社が世論調査を行った。5月に比べ支持率が軒並みダウンした。36%と支持率が最も低かった毎日新聞は10ポイント減。不支持率は9ポイント増加し44%、支持を8ポイント上回った。最も下げ幅が大きかったのは読売新聞。12ポイントも減った。

 理由は明らかだ。安倍政権の加計疑惑もみ消し。証拠隠滅のため文科省前事務次官前川喜平を貶(おとし)める報道まで行わせたことが、政権の腐敗ぶりを際立たせた。その一方で、共謀罪を委員会採決省略の禁じ手まで使って成立させた。疑惑隠しと市民監視。この同時進行に安倍による国家私物化への怒りが高まった。

 7月10日、朝日・読売両新聞やNHKなどで一斉に世論調査結果が公表され、軒並み内閣支持率は激減。政府御用紙といわれる読売でも6月調査から支持は13ポイント減の36%、不支持は52%に上る。朝日、NHK、日本テレビなどすべて不支持が支持を上回った。「高支持率」の虚構は完全に崩れ去った(表)。


その場しのぎの目くらまし

 過去に不支持率が支持率を上回った時期がある。15年9月、戦争法の強行採決を前後する時期だ。戦争法に対する市民の危機感と横暴な国会運営への怒りが、不支持を広げた。その時、安倍は「1億総活躍社会」のキャッチフレーズで、目先をかわした。だが「1億総活躍社会」で何が実現したのか。「17年度末待機児童ゼロ」方針は棚上げではないか。確かにいったん支持率は「回復」した。また再び目くらましを用意している。今度は「人づくり革命」という。「過労死」容認の「働き方改革」をまとめさせた安倍。もうごまかされない。

だまされない

 これまで「高支持率」とはいうものの、その理由は「他にいない」という消極的支持が大半だった。しかも自公支持者に限った話だ。今回、不支持の主な理由は「安倍の人柄が信用できない」ことだ。国会閉会直後、会見を開き「真摯に反省。ていねいに説明」と事が済んでから何度も「反省」してみせた。だが、結局そのまま押し切るだけ。

 都議選の敗戦で「おごり」「緩み」と自戒して見せても、反省する気はさらさらない。

 安倍は、野党議員からの憲法53条に基づく臨時国会召集請求に対し、「期限が決められていない」と逃げをうつ。自民党は自らの憲法草案に「20日以内に開会」と書き込んだにもかかわらず、実行しようとはしない。何という二枚舌か。自ら守るつもりもない改憲案を掲げるでたらめさ。憲法は権力者ではなく市民を縛るものと思っている証拠だ。

 内閣改造を前倒しすると言う。問題閣僚の交代と人気取り閣僚で「挽回」を図るつもりだ。いかに閣僚を変えようが、批判の矛先は安倍晋三にある。戦争国家へとひた走り、人権無視・民主主義破壊するも恥じない安倍の独裁ぶりにノーを突きつけているのだ。「改憲首相」の名を手に入れようと悪あがきすればするほど、安倍の「余命」は短くなるだろう。安倍ヤメロ、改憲ヤメロの声で包囲しよう。 

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