2017年09月01日 1491号

【明治維新150年を問い直す/未来につなぐ12回目のヤスクニキャンドル行動】

 第12回「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」キャンドル行動が8月12日都内で行われ、300人が集会後に靖国神社周辺をキャンドルデモした。

 開会のあいさつでキャンドル行動実行委員会共同代表の今村嗣夫さんは「トランプ政権発足を『奇貨』として『自主国防』の強化を図り、ヤスクニとの結びつきを強める。市民の私生活・家族・住居・通信に干渉を強める『国家』にとことん抵抗する行動に」と呼びかけた。

 今年のテーマは“東アジアの視点から「明治維新150年」とヤスクニを問い直す”。シンポジウムで放送大学教授の原武史さんは「天皇明仁退位、皇太子徳仁(なるひと)即位のタイミングで『明治150年』を煽り、11月3日の文化の日を『明治の日』に改称することで、平成を忘却させ徳仁を明治天皇の再来に仕立て上げる。安倍首相はこの天皇の代替りと憲法改正を連動させる可能性がある」と指摘した。東北アジア歴史財団の南相九(★ナムサング)さんは「1909年に伊藤博文を射殺した安重根(アンジュングン)の『東洋平和論』は、植民地化と闘う韓国の独立こそが東洋平和、世界平和につながるというもの。一方、日本のアジア侵略も『東洋平和』を根拠に行われたが、隣国の主権を侵すもので意味が全く違う。こういう歴史を誇らしい歴史として記憶しようとする限り、安倍総理の掲げる『積極的平和主義』からは過去の影が重なる」と批判した。

 被害者証言に立った韓国人遺族・董定男(トンジョンナム)さんの父は、名古屋の三菱工場で働いているときに強制動員された。「父の姿は写真でしか知らない。90年以降消息を追い10年後に海軍死亡者名簿を見つけた。2013年に『旧海軍軍属身上調査表』で北太平洋の海で戦死したことがわかり、59年に靖国に合祀されていたことも知った。父は天皇のために死んだのではない。日本が起こした戦争のせいで若くして死んだことも悔しいのに、靖国に合祀までされているとは。到底許せない」

 閉会のあいさつは反靖国共同行動韓国委員会共同代表の李煕子(イヒジャ)さん。「キャンドル行動は12回目になるが、靖国の何が問題なのかを後世に伝えられる取り組みになった。暑い中、汗を拭いてください」と参加者全員にハンカチをプレゼントした。「私たち遺族が望むのは、靖国合祀から名前を外してくれというただそれだけのこと。韓国に植民地支配の歴史博物館ができる。大切な資料を見ながらみなさんと共有し、若い世代に伝え未来へつなげていきたい」と述べた。

 毎年、キャンドルデモは右翼の妨害に遭うが、今年は例年になく少数。デモは最後まで整然と行われた。

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