2017年11月10日 1501号

【一人ひとりが大切にされる教育を/横浜を憲法の生きる街に/平和と民主主義をともにつくる会・かながわ】

 カジノや大企業優先ではなく教育と福祉、生活優先の誰もが安心して暮らせる街・横浜市を、と発足した「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」。10月22日、同市鶴見区で「くらしに憲法を!タウンミーティング part1 ここが問題!横浜の教育」を開いた。

 横浜市の教育がかかえる諸問題について報告したのは、共同代表の青島正晴さん。

 まず取り上げたのは、憲法と子どもの権利条約だ。憲法には、誰もが等しく教育を受ける権利を持つことが定められている。子どもの権利条約には、子どもたちの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」がうたわれている。これらに照らして横浜市ではどうか。

 不登校の子どもたちは2300人を超す。福島から避難してきた子がいじめに遭っていたのに、市教育長は「いじめではない」と言い張った。市教委は一昨年、戦争賛美の歴史・公民教科書を採択。道徳の教科化を全国に先駆けて今年度から実施した。一方、中学校給食は全国の政令指定都市で唯一、まだ実施されていない。変えなければならないことはあまりに多い。

 2019年の横浜市議選に立候補を決意している青島さんは「私が実現したいこと」を四つあげた。

 一つは、35人以下学級を小中学校で完全実施すること。さまざまな子どもたちが共生できる学校にするには、少人数学級の実現が不可欠だ。

 二つめに、安全であたたかい中学校給食の実施。横浜市は今年から全中学校で配達弁当「ハマ弁」を始めたが、利用率は0・9%にとどまる。

 三つめに、教育の無償化。子どもの貧困対策は、貧困世帯だけを選別するのではなくすべての世帯を対象にして行う必要がある。

 四つめに、子どもたちの権利、自由な教育を保障すること。道徳の教科化による、いつでも“いい子”でいて用意された“正しい”答えを求められるような、心の中に及ぶ管理の進行に歯止めをかけなければならない。

 ミーティングでは続いて、NPO法人「子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽ」代表の青島美千代さんが不登校の子どもたちをめぐる状況を報告。昨年成立した「教育機会確保法」の下で、不登校の子への支援を名目に、家族関係や病歴が記載されたカルテが警察を含む諸機関に共有されようとしている。サポート校の参入も促進され、苦しんでいる子どもたちが民間教育産業の餌食になる、と懸念が表明された。

 参加者の一人が「少人数学級だと子どもはかえって息苦しくなるのでは」と質問したのをきっかけに、活発な議論となった。「少人数になれば解決、ではない」「教員に子ども一人ひとりを見られる余裕があるかどうか」「臨任や非常勤など非正規教員が増えている」「心配な子どもたちをどう支えていくかは地域の問題」「地域に開かれた学校に」と話が弾んだ。

 「ともにつくる会・かながわ」では今後、月2回開かれる教育委員会を傍聴するとともに、横浜市全体のお金の使い方の分析を深めていく。

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