2017年12月15日 1506号

【沖縄辺野古新基地阻止 内外に広がる闘いへの共感 県は奥港使用許可取り消しを】

演習激化で米軍機また墜落

 米軍機がまた墜落した。11月22日午後2時45分頃、沖縄県北大東村の無人島、沖大東島の南東約530`、東京都の沖ノ鳥島の北西約150`の公海上で、米海軍原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦載機C2輸送機が墜落した。米海軍第7艦隊と防衛省によれば、搭乗者11人のうち8人が救助されたものの、3人は行方不明のまま。24日、捜索は打ち切られた。

 小野寺五典防衛相は「米軍から『エンジンの不調が原因』と一報があったと明らかにしたが、墜落場所は意図的に「東京都沖ノ鳥島」を強調し、沖縄との関係を薄めようとした。しかし、ロナルド・レーガンは11月16日から26日にかけて実施された海上自衛隊と米海軍による「海上自衛隊演習」に参加しており、同機は嘉手納基地での離発着訓練を行っていた。



 沖縄県の統計では、1972年の本土復帰から2016年末までに県内で発生した米軍関連の事故は709件にのぼり、墜落事故は47件に達している。また、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争など米軍が激しい戦闘や訓練を繰り返している期間中に事故が急増しているのも特徴だ。

 トランプ米大統領の就任以降、昨年12月名護市安部(あぶ)沖に普天間基地所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落、今年8月オーストラリア沖にオスプレイ墜落(同じく普天間基地所属)、さらに10月高江にCH53大型輸送ヘリ(同)が炎上大波など事故が多発している。朝鮮への武力による威嚇へ日米韓一体の合同演習が繰り返される中での事故多発である。東アジアでの軍事緊張激化が事故を生み出している。

平和賞にオール沖縄会議

 辺野古新基地建設反対の闘いへの共感は、確実に国内外に広がっている。

 ドイツ・ベルリンに本部を置く国際平和団体「国際平和ビューロー」(IPB)は11月24日スペイン・バルセロナで今年のショーン・マクブライド平和賞(アイルランドの国際政治家の名を冠した平和賞)の授賞式を行い、辺野古新基地建設に反対する政党や団体でつくる「オール沖縄会議」に授与した。同会議の高里鈴代共同代表、安次富(あしとみ)浩代表幹事がメダルと花束を受け取った。高里さんは「世界中のより多くの人びとが沖縄の現状を知るようになることを願う」と述べ、安次富さんは「我々の草の根の運動が国際的に注目されたことは、これからの沖縄のプラスになるのではないか」と話した。

 それだけではない。22日には、平和、人権などのために活動する個人や団体に贈られる韓国の第21回池学淳(チハクスン)正義平和賞を、辺野古新基地建設に対し1997年当初から闘い続けてきたヘリ基地反対協議会が受賞することが明らかになった。賞は、韓国で民主化運動に力を尽くしたカトリック神父の名を冠し、池学淳正義平和基金(キム・ビョンサン理事長)が贈るもの。同基金は「辺野古海上基地の建設に抵抗し、海上阻止行動を20年間持続しており、いかなる厳しい状況でも沖縄の平和、自然、自尊心を守るという熱意に変わりがないという事実に感銘を受けた」としている。

 国内でも、東京写真記者協会(新聞、通信、放送など33社加盟)は11月24日、優れた報道写真に贈る本年度の各賞を発表し、グランプリ(最優秀賞)の東京写真記者協会賞に東京新聞記者が撮影した「沖縄の視線」が選ばれた。今年6月23日、慰霊の日の「沖縄全戦没者追悼式」で献花に向かう安倍晋三首相に対して翁長雄志(おながたけし)知事や関係者、子どもたちが睨みつけるような厳しい視線を注ぐ瞬間を捉えたものだ。受賞作品は、年末から年始にかけて東京や静岡などの「報道写真展」で展示される。

奥区民、市民が県に要求

 11月28日、辺野古新基地護岸工事の石材海上搬送に奥港(国頭村<くにがみそん>)を使用しないよう決議した奥区糸満盛也区長など役員は、県の土木整備統括監らに港湾使用許可の即時取り消しなどを求める区民決議を手渡した。さらにこの日は、結成されたばかりの「核兵器から命を守る県民共闘会議」共同代表の山内徳信元参院議員や市民約60人も吉田勝広県政策調整監らに奥港の使用許可取り消し、辺野古埋め立て承認撤回を直ちに判断するよう要求書を提出。年内に決断するよう厳しく求めた。

 翁長知事は11月30日、奥港について騒音や通行制限など住民生活に影響が出ているとの認識を示し「取り消しを含め重大な決意で臨む」と都内で会見。県は同日、石材搬送業者へ港の適正使用を求める指示書を交付し、指示を守らなければ県港湾管理条例に基づき許可を取り消すと伝えた。知事は区民の意思を反映した判断と強調した。  (N)

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