2018年03月09日 1517号

【日韓市民共同声明1000人賛同へ 韓国市民の闘いは(3) 東アジアの緊張激化は許さない 済州島(チェジュ)島反基地闘争に連帯を】

 2007年4月26日、済州(チェジュ)島西帰浦(ソギポ)の江汀村(カンジョンマウル)で、村民約1200人中87人が参加しただけの臨時マウル総会での「全員一致の拍手」によって海軍基地誘致が「決定」された。いうまでもなく韓国政府・海軍が仕組んだ策略だった。

 以来、済州島の美しい自然を破壊して戦争の前線にする軍事基地建設が開始され、反対する闘いが9年にわたって続いた。韓国政府は、「約700人連行、589人起訴、38人拘束」という大弾圧で工事を強行し、16年2月海軍基地「竣工式」が行われた。

 江汀海軍基地建設は、03〜08年の盧武鉉(ノムヒョン)政権(文在寅<ムンジェイン>現大統領も政権中枢にいた)が掲げた「大洋海軍」の旗印のもとで計画された。司令部、補給施設、宿舎などが建設される陸上部分の面積は、東京ドーム14個分にあたる67fで、韓国海軍の拠点である釜山(プサン)や鎮海(チンヘ)の2大基地に匹敵する規模だ。建設費は約1兆ウォン(約1千億円)とされる。

 韓国政府は、この基地に強襲揚陸艦を旗艦としイージス艦、潜水艦など計20隻の艦隊を配備。20年代後半には韓国初の本格的外洋艦隊となる「戦略機動艦隊」へと拡大する計画だ。さらに今、済州第2空港の名目で新たな空軍基地の建設も狙われている。

 こうした基地建設の目的は何か。韓国海軍は「南方海域の海上交通路保護」を掲げるが、名目にすぎない。済州島は黄海の入り口にある。日中戦争時に旧日本軍が南京爆撃のための出撃基地の一つとした歴史がある。長距離巡航ミサイルを配置すれば、中国の主要都市を射程圏内にとらえられる。イージス艦や地上型迎撃ミサイルを配置し、中国の核戦力に対抗できる。

 韓国の済州島基地建設と星州(ソンジュ)へのTHAAD(サード)(高高度迎撃ミサイル)配備、そして沖縄をはじめ南西諸島基地強化、日本全国の軍事化は、日米韓が中国に対し東アジアでの軍事的優位を確保する戦争政策を一体的に進めるものとしてある。

派兵拠点化の狙い

 同時にこれは韓国グローバル資本自身の要求でもある。朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との軍事的対抗として増強を重ねてきた韓国の軍事費は現在約4兆3千億円(世界10位)。朝鮮のGDP(国内総生産)総額約1兆8500億円の2倍をはるかに超える。

 対外投資残高約84兆円を有する韓国グローバル資本は、この軍事力を海外権益の確保に活用し、済州基地を派兵拠点として使いたいという強い衝動を持つ。すでに韓国軍は石油利権確保のための南スーダンPKO派兵を続けている。UAE(アラブ首長国連邦)にも原発輸出と一体で派兵中だ。沖縄辺野古新基地を将来自衛隊が出撃拠点として使用する狙いがあるのと同様に、韓国軍も済州基地の派兵拠点化をもくろむ。

 しかし、済州島の基地反対運動はとだえることなく続いている。昨年7月、「命と平和のための済州島大行進」には全国から集った2千人が基地撤去の全島デモを展開。11月には、朝鮮との核対立を激化させる米軍の原子力潜水艦入港反対行動が取り組まれた。新空軍基地建設策動を阻止する闘いも始まっている。

 東アジアの緊張を激化させる戦争政策に反対し、済州島、星州など韓国の反基地運動と連帯して闘いを進めよう。

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