2018年06月29日 1532号

【沖縄辺野古 8月17日土砂投入を通告 1日も早く埋め立て承認撤回を 失われる基地の「根拠」】

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設阻止の闘いは、最重要局面を迎えている。

何が何でも埋め立て強行

 6月12日、沖縄防衛局は沖縄県赤土等流出防止条例に基づく土砂投入通知書を名護市の県北部保健所に届けた。「辺野古の埋め立てを開始する」と国が沖縄県に最後通告を突きつけたに等しい。マスコミ報道が史上初の米朝会談一色になるタイミングを見計らい、国の強行を隠すように埋め立て手続きが行われた。しかも、前日の11日早朝、那覇沖80`で発生した米軍F15戦闘機の墜落事故への抗議が各自治体から沖縄防衛局に殺到している最中。何が起きようと埋め立て手続きだけは進める政府の新基地建設ありきの態度に改めて怒りが増す。

 通知書には、2か月後の8月17日から辺野古崎南側のK(傾斜)4護岸、N(中仕切り)3護岸、N5護岸で仕切られる部分6万3410uの区域から土砂投入を開始すると書かれている。辺野古崎の辺野古漁港側に位置する浅瀬の最もゴツゴツした岩場で、埋め立てが比較的容易な部分だ。その面積は埋め立て工事全体の1%にも満たない。

 しかし、土砂投入は後戻りできない一歩になる。赤土等流出防止条例では国に対して協議を求めることができるものの県に許認可権はなく、条例の文言上では工事を止めることはできない。工事を止めるために、翁長雄志(おながたけし)知事による埋め立て承認撤回が1日も早く求められる。

 その12日、翁長知事は会見を開き、知事コメントを発表した。辺野古埋め立ての是非を問う県民投票について「実施されれば県民一人ひとりが改めてその意思を示すことができるため意義がある」と支持する考えを示すとともに、県民投票の時期に縛られることなく「環境保全措置が看過できない事態となれば、埋め立て承認撤回は躊躇(ちゅうちょ)することなく必ず行う」と明言した。

 また、知事自身の4月すい臓がん手術後初めて出席した沖縄県議会定例会では、「県民に大変心配をかけた。公務に全力で取り組み、与えられた知事の責任を全うしたい」と辺野古に新基地は造らせない≠ニした4年前の知事選の時の決意が揺らぐことはみじんもない旨を宣言した。

 「オール沖縄会議」も同日、「土砂投入はさせない」「県民大会の開催」「7月7日の辺野古ゲート前大行動」などを確認し、正念場の闘いへ決意を固めた。

宮古島弾薬庫を追及

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、6月11日に中央省庁要請行動を行った。防衛省、経済産業省に対しては、宮古島への陸上自衛隊ミサイル配備阻止に関して、地元の「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」(石嶺香織、楚南有香子・共同代表)との連名による共同提出となった。宮古島への自衛隊配備が明らかになってから「平和な島にミサイル部隊はいらない」と闘い続けている同会との共同行動となった意義は大きい。

 両省との交渉では、同島南部の保良(ぼら)採石場跡地に建設が計画されている弾薬庫と保良集落が200bも離れていない問題について追及が行われた。弾薬庫に貯蔵されるのはライフル銃の弾丸などではない。数十`も飛翔する地対艦、地対空ミサイル誘導弾だ。昨年9月にはウクライナで弾薬庫が爆発し、半径10`の住民2万人が避難した事故があったことが思い起こされる。宮古島でもし同様の事故が起これば、島の南半分が避難しなければならなくなる。

 しかし、両省とも火薬類取扱法に基づき安全は確保されているとくりかえすばかり。住宅地の200b先でミサイルが何十発、何百発も保管されている状態を、両省幹部が危険と言うな≠ニ部下に命じていると思われる。その異常さが際立った。


名分失う国連軍基地

 6月12日、トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)国務委員長の会談で「朝鮮半島の完全非核化」が約束された。

 沖縄の米軍嘉手納基地や普天間基地は「朝鮮国連軍」の基地でもある。基地ゲート内には星条旗とともに国連旗もなびいている。朝鮮戦争終結となれば、それを名目とした「朝鮮国連軍」基地は必要なくなり、朝鮮の直接の攻撃対象から外れる。「脅威」としていた朝鮮の武力攻撃という前提が崩れるのだ。

 東アジアの平和構築が進む中で、米海兵隊の辺野古新基地建設も宮古島への自衛隊ミサイル基地建設も、ますますその口実を失っていく。韓国文在寅(ムンジェイン)政権下の星州(ソンジュ)でTHAAD(サード)(高高度防衛ミサイル)配備撤回の闘いが続けられているように、辺野古や宮古での基地反対の闘いが、武力によらない本当の平和な社会をつくりだす。東アジアの平和を日韓民衆が勝ち取る展望が開かれた。

 (N)

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