2018年07月06日 1533号

【フリースペースひまわり 内田良子さん講演会 休む権利と 「居場所」の保障を】

 フリースペースひまわりは、6月17日、心理カウンセラーの内田良子(りょうこ)さんを招いて、講演会「学校に行かない子どもの声を受けとめて私たちにできること」を開催しました。

 教育機会確保法が成立して1年半、教育委員会や学校で、法律を具体化した「不登校対策」が進められつつあります。親や教育関係者だけでなく、一人ひとりが子どもの側に立って考え問題を共有したいと思い、講演会を企画。42人の親や市民が参加しました。

 内田さんは、教育機会確保法によって、不登校特例校を作り不登校の子どもを教室の外に出すことや、児童生徒理解・教育支援シートを作りプライバシーを書き込んで高校卒業まで残す子どものブラックリスト化が行われる、また、学校以外の「学びの場所」として、民間の塾産業などが利益を得る教育の民営化が広がる可能性があると語られました。

 一方、国の不登校対策は子どもを休ませない、と指摘されました。子どもはいじめや先生の不適切な対応があったり部活で疲れ果てたりで休む必要があるのに、です。親も学校と連携して「原因を詮索せず」登校を働きかけるよう言われ、親と子が分断され子どもが孤立しています。発達障害の疑いで病院を紹介され、投薬につながることもあります。

 私は、不登校を子どもの責任にする「不登校対策」が、子どもと親を苦しめていると感じました。内田さんが紹介された「学校は怖いところ。世の中に要る子と要らない子を分けるところ」という小学生の言葉は衝撃でした。学校が子どもを選別していることを子どもは見抜いています。

子どもは休む権利がある

 内田さんは、子どもは学校を休む権利がある、親は学校の保護者でなく子どもの保護者になって子どもを守ってほしい、同時に「親の会」という相談交流の場が大切と強調しました。多くは不登校の子どもの親たちが自発的に始め、30年近く続けている会もあります。親の会で話すことで親の心の傷がふさがる、家を居場所にして安心した子どもが、こじれた親子関係が修復されて一歩を踏み出すという事例もあり、参加者からも「休ませていいということがわかって安心した」という感想がありました。

 講演会後に相談交流会を持ち、内田さんから「ほかの人の話を最後まで聞くことは、子どもの話を最後まで聞くことにつながる。自分の場合と重ね合わせて聞くことで学べる」と、親の会の持ち方について意見をいただきました。今後の活動に生かしていきたいと思います。

 子どもが安心して過ごせる「居場所」、親が安心して話せる「親の会」を続けつつ、おかしいことはおかしいと言える社会にしていかなければ、と改めて感じた講演会でした。

(大阪・フリースペースひまわり・小川裕子)

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