2018年07月13日 1534号

【ゴンチャロフ過労自死労災認定へ 遺族と労働組合らが支援の会結成 広く社会に訴え署名1万5千筆】

 過労死が大きな社会問題となる中、神戸市で過労自死労災認定を求める運動が広がっている。支援するなかまユニオン阪神分会の近藤伸一さんに報告を寄せてもらった。

 前田さん過労自死事件は、2014年にゴンチャロフ製菓に入社した前田颯人(はやと)さんが16年6月、通勤途上で電車に飛び込み20歳の命を絶った痛ましい事件です。15年9月から4か月間、月87〜109・9時間の超過勤務を強いられ、また、入社2か月後頃から特定の上司より執拗なパワハラを受け続けました。始業の30分から1時間前に出勤した颯人さんに「社長出勤やな」といわれのない非難を浴びせ、あいさつも無視。ミスを発生させるとみんなの前で怒鳴りつけ、1〜2時間も説教。明らかな他の人のミスが押し付けられることまで。

 「もう辞めたい」と申し出ると、「辞めるなら、もうお前の学校から採用せん」と脅され、学校や後輩に迷惑をかけられないと悩み苦しみ、辞めることも逃げることもできない状況へと颯人さんは追い込まれたのです。

支援の会結成で労災認定へ

 前田さんの母、和美さんとゴンチャロフ労働組合が中心になり、兵庫の過労死センターとも相談し、17年9月、西宮労働基準監督署に労災認定の申請を開始しました。退職者も含め8人の「パワハラと時間外労働に関する証言」を労基署に届け、労基署から会社の多くの労働者への聞き取り調査も行われました。こうした動きを社会的に広げ、労災認定を確実にするために5月24日、支援の会(準)結成の集会が開催されました。

 ゴンチャロフ労組の竹村務委員長は「私の背中で前田君が苦しい気持ちで作業衣に着替えていたのに気づきませんでした」と当時を振り返り、「組合として労災認定を認めさせ、会社の猛省を求め、社会的な責任を追及したい」と表明。和美さんも「現在1万5321筆の個人署名と186団体署名(5/24時点)を集めています。大事に育てた息子の命を奪うことになった会社を許せません。工場長やグループリーダーらの中から『自殺なんかされて迷惑や』『自分の子どもやったら辞めさせていた』など心無い言葉も聞きましたが、パワハラや過労死という言葉が無くなることを願って皆さんとともに進みます」と力強く述べました。

 6月7日、会の世話人会が開催され、正式名称を「ゴンチャロフ前田颯人さん長時間・パワハラ過労自死事件の解決を求める会」と決めました。なかまユニオン阪神分会も団体加入し、世話人として会員拡大や様々な行動に協力していく決意です。

 労災認定が出たなら、すぐ記者会見を行い、その後ゴンチャロフ製菓への申し入れ行動などが計画されています。7月19日夜、神戸市立婦人会館で今後の行動についての集会も予定されています。ぜひご支援をお願いします。

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