2018年09月21日 1543号

【未来への責任(257)対日過去清算のための共同行動】

 8月9日、韓国で「強制動員問題解決と対日過去清算のための共同行動」(以下「共同行動」)が発足した。「共同行動」には、民主労総、民族問題研究所、わが同胞ひとつ運動本部(キョレハナ)など16団体が結集する。団体の目標として、(1)日本植民地支配と過去事を清算し、韓日関係を正しく確立するために行動する、(2)日帝強制動員に対する日本の謝罪と賠償問題を解決するために行動する、の2点を掲げた。

 注目すべきは、その活動方向である。(1)強制動員の歴史と懸案問題に対して共同で対応して実践し、解決のために全国民的な輿論(よろん)を形成する、(2)強制動員問題について南北交流を通じて持続可能で実践的な南北共同対応をつくる、(3)強制動員問題解決のために在日同胞との交流、韓日市民連帯、進んで東アジアと国際的な平和連帯を構築する、の3点を打ち出したことだ。また、目標達成に向けて日韓市民の連帯だけではなく、「実践的な南北共同対応」をつくること、「在日同胞との交流」を明示したことが特徴としてあげられる。

 これはある意味で、4・27南北首脳会談―板門店(パンムンジョム)宣言が生み出した「共同行動」なのである。4・27以降、南北政府は軍事衝突回避、戦争の危険解消措置を講じ、鉄道・道路の連結、現代化に向けての事業も開始した。来年2019年3月1日には、朝鮮独立運動100周年に当たって共同事業を実施することも合意した。

 ところが南北政府間に、日本帝国主義の朝鮮植民地支配の清算を共同で進めていくという合意はない。韓国政府は、1965年日韓国交正常化―日韓請求権協定によって、それに一定の区切りをつけたとしているからである。そして朝鮮も、2002年9・17平壌(ピョンヤン)宣言で、無償資金協力、低金利長期借款などの経済協力で植民地支配の清算をさせる方式を日本と合意しているからである。しかし、この方式では、植民地支配被害者の人権は回復せず、精神的・肉体的被害が償われていない。それを公的に認めたのが、2011年8・30憲法裁判所決定であり、翌12年5・24大法院判決であった。これを韓国社会において「全国民的な輿論」として定着させて文在寅(ムンジェイン)政権を動かし、それをもって平壌宣言の「限界」をも超えさせていく。それを追求していくための運動体が「共同行動」なのである。

 1965年以来、「未完」のままに、そして南北で不均衡に進んできた日本の植民地支配の清算を、板門店宣言以降、南北市民が足並みを揃えて進めていく。その動きに日本から応えていくことは我々の当然の責務とも言える。

 朴槿恵(パククネ)前政権が「徴用賠償判決が確定すれば国の恥さらし」と大法院に圧力をかけ、大法院はそれに応じて判決を遅延させてきた。この事実が明るみに出て問題となっている中、何としても正義の判決を出させなければならない。そして、強制動員問題解決の確かな道筋をつけていく。そのために「共同行動」と日本市民との連帯は大切である。

(強制連行・企業責任追及裁判全国ネットワーク 矢野秀喜)

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