2018年10月12日 1546号

【関西生コン労組への刑事弾圧糾弾 警察庁―安倍の労働運動つぶし 憲法と民主主義への攻撃だ】

 8月から9月にかけて、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「関生(かんなま)支部」)に対する警察権力の異常な刑事弾圧がかけられている。厳しく糾弾する。

 滋賀、京都、大阪、奈良ですでに20人の関生支部組合員が拘束されている。

 この弾圧の最大の特徴は、各府県の組織犯罪対策課(いわゆる暴力団を取り締まる)が一斉に動き出したことである。8月9日関生支部事務所の家宅捜索で、滋賀県警組織犯罪対策課の警部は「本庁の指示でやってきたんや」と言い放ったといわれる。同28日関生支部武建一委員長が「恐喝未遂容疑」で逮捕された。

 9月18日には大阪府警が、同支部の七牟礼(ななむれ)時夫副委員長をはじめ16人の組合員を不当逮捕した。昨年12月の労使間の約束である輸送運賃引き上げを速やかに実施することを求めたストライキ闘争を「強要未遂および威力業務妨害」としたという。

企業と労組の協同を破壊

 セメント業界は、大手セメントメーカーの優越的な地位の濫用に対し労働組合が闘ってきた。中小零細の生コン企業は、ただ互いに不毛な競争に追い込まれるだけだった。関生支部などが中心となり、そこに協同組合を作らせ、労働組合が援助し、大阪の生コン製造プラントの100%近くを組織し、価格を労働者が生活していけるだけの利益が上がるものに引き上げてきた。「共同受注・共同販売」でゼネコンと対等かつ適正価格での取引をしてきた。

 しかし、中小の資本家の中から、労働組合が邪魔だ、労働条件なんか低いほうが良いに決まってるという声が出る。労働組合といっしょになってやってきたはずなのに、つぶしてしまえとなってきた。

 関西生コン広域協同組合(幹部は反関生支部、ヘイト集団の在特会関係者らと連携、以下「広域協」)は、昨年から「関生のしていることは恐喝・強要だ。団体交渉に応じるな。関生の労働者は使うな。関生と仲のいい企業は使うな」と、協同組合に入っている企業―大阪の生コン工場すべてに通達を出した。この介入は、裁判を起こされ、広域協は次々と敗訴した。

 ところが、これに手を差し伸べるように刑事弾圧が始まった。弾圧の質もこれまでとまったく異なっていた。各府県警すべて組織犯罪対策課が動き、令状もちらつかせるだけでなだれ込む。現場組合員でなく委員長・副委員長から逮捕する。確たる証拠もないまま、「知らないはずはない」と自白強要≠ナ事件を作ってきている。

組織犯罪の名で攻撃

 もう一つの大きな特徴は、「これは組織犯罪だ、反社会的集団だ」という攻撃が一斉にされていることだ。

 金融機関も、関生支部と連携している企業に対し「(反社会的勢力と)手を切る」ことを明言しなければ融資を認めないと圧力をかける。

 事件の取調官は「労働組合は企業の外では運動できない」「いつまで組合をやってるのか」と公然と口にする。また、「コンプライアンス(=法令順守)」として建築現場で労働基準法違反や労働安全衛生法違反を指摘することが「嫌がらせ」とされ、「強要」で起訴されている。取調官は「そんな活動ももうできなくなる」と公言する。つまり、企業の違法、不当を正し、嫌がることをすることはすべて強要や恐喝と言うのだ。

憲法・労組法を否定

 憲法第28条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と宣言。

 労働組合法第1条の2は「刑法第35条(<正当行為>法令または正当な業務による行為は、罰しない)の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であつて前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする」とある。

 また、同第8条は「使用者は、同盟罷業(ひぎょう)(ストライキ)その他の争議行為であって正当なものによって損害を受けたことの故(ゆえ)をもって、労働組合またはその組合員に対し賠償を請求することができない」としている。

 しかし、今回の弾圧では「企業の嫌がることをするのが強要だ、恐喝だ」とされている。これは、憲法、労組法を無視しすべての労働組合の息の根を止める攻撃であり、民主主義の否定である。

 警察庁―組織犯罪対策部、安倍政権直轄の労働組合運動つぶし、民主主義破壊を絶対に許してはならない。

 
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