2018年12月07日 1554号

【「労働力」ではなく「人間」だ 入管法改定案を通すな 外国人労働者の人権を保障せよ 技能実習制度 直ちに廃止を】

 外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改定案が衆院法務委員会で審議入りした11月21日、参院議員会館で集会「今こそ、包括的な移民政策を!―政府が進める『新たな外国人材の受入れ』を問う」が開かれ、当事者の外国人労働者をはじめ200人が参加した。「移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」が主催した。

 移住連の鳥井一平代表理事が議論の口火を切る。「技能実習生たちは『私たちを抜きに私たちのことを決めないでくれ』と国会に求めている。移民政策をとるかとらないかの議論はナンセンス。いま移民はいる。移民の存在なくして社会は成り立たない。これまでのゆがんだ移民政策をまっとうな移民政策に変えていくチャンスだ」

 外国人労働者弁護団代表の指宿昭一弁護士は「送り出し国・受け入れ国双方の悪質ブローカーの人権侵害に対する規制が、改定案ではほとんど考慮されていない。『特定技能1号』の労働者には最長10年間、家族の帯同を認めず、日本で人間として家族とともに暮らすことを否定している。スイスの作家マックス・フリッシュの言葉『われわれは労働力を呼んだが、やって来たのは人間だった』を思い返す必要がある」と述べた。

当事者が声あげる

 「技能実習の過ちを繰り返すな」と強調したのは、外国人技能実習生権利ネットワークの旗手明さん。「原発事故の除染作業にベトナム人実習生が従事させられ、日立のフィリピン人実習生は目的の技能を学べないまま大量解雇された。12年前に『時給300円の労働者』という本を出したが、いまだに時給300円が厳然として存在する」

 栃木県内のイチゴ農園で働いていた中国人元技能実習生がマイクをとる。「1日の勤務は14〜15時間。毎月の手取りは住居費6万円が引かれ、わずか7万5千円。リビングに5人で住み、空き部屋は鍵がかかっていた。毎日の出入りまで厳しく制限され、パスポートも取り上げ。無許可外出を理由に強制送還されそうになった」と告発した。

 「今日のひどい差別は、戦前の植民地支配から続き戦後も改められなかった“外国籍の人を同じ人間として扱わない”差別政策がもたらしたもの」。外国人人権法連絡会の師岡康子弁護士が糾弾する。「その象徴が65年、入管局高官の『外国人は煮て食おうと焼いて食おうと勝手』という発言だ。深刻な差別を放置しながら外国人を労働者としてさらに受け入れるのは、差別の被害者を広げるだけ。出発点として人種差別撤廃基本法の制定を」と訴えた。

 最後に「外国人労働者・移民、外国にルーツを持つ人びとが『人間』として暮らせるための権利と尊厳が保障されなければならない」とのアピールを採択。「技能実習制度の廃止」「家族帯同を認め、永住につながる在留資格の創設」「直接雇用、日本人と同一の賃金の保障」「差別禁止法の制定」などを求めた。

入管法改定案採決強行に反対する行動が、全労連などでつくる緊急行動実行委員会と雇用共同アクションの共催で取り組まれた。(11月27日・衆院第2議員会館前)


大阪府警本部前で抗議

 労働組合のストライキや団体交渉を犯罪扱いする。そんな弾圧が続いている。連帯ユニオン関生支部役員が11月21日、新たに3名逮捕、1名再逮捕された。市民運動への弾圧につながると抗議に駆けつけたZENKO共同代表山川さんは12月8日の集会を呼びかけた。(11月24日大阪府警本部前)

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