2019年03月01日 1565号
【みるよむ(508)/ 2019年2月16日配信/ イラク平和テレビ局in Japan/ 石油の利益はどこにいく?/食料配給カードの実態】
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2018年10月に発足したイラクのマハディ政権は、石油の利益を食料配給カード改善に使うと発表した。しかし、腐敗政治家は口先だけの約束はしても決して実行に移さない。18年12月、サナテレビはこの問題についてバグダッド市民にインタビューを行った。
占領により崩壊
最初に登場する政治評論家は「食料配給カードはどこにあるのか」と問いかける。「2、3か月ごとに市民は食料配給カードで1種類の食品を無料で受け取るが、7つの食品には代金を払わなければならない」と実状を指摘する。
イラクでは、03年の米軍占領以前は、食料配給カードによって、小麦や紅茶など主要食品について家族が食べていける最低限度は支給されていた。配給品にはカミソリなどの日用品もあった。石油も無料で配給されていた。
現在、公営企業の閉鎖が続いて失業者が膨大となり、社会サービスや医療、教育は崩壊状態だ。生活困窮者は03年以前よりもはるかに増えている。そのこともあって、「政府のこの決定が発表され、市民は明るい展望を持った」という。だが、すぐにずさんな配給制度の実態が分かり、失望が広がった。
市民活動家は「政治家らは資金を食料配給に回したいと言うが、ウソだ」と強調する。「何より、月4千万ディナール(約370万円)から7千万ディナール(約650万円)も給料を受け取っている国会議員に、政府が家賃まで支給する必要があるのか」と怒りの声を上げる。
あざ笑う政治家
政治家は豊富な石油から得られる利益で、とてつもなく豊かな暮らしをしている。毎日の食べ物にも苦労する市民のことを考え、生活を支援する制度を作ろうという姿勢などまったくない。ある市民は「政治家たちは市民をあざ笑っている」と強く憤る。
石油事業の収益で食料配給制度を改善すると口先だけ主張する政治家たちは、低賃金と社会サービス切り捨てに苦しむ市民の生活改善について、実際には何もせずごまかすばかりだ。サナテレビは、その実態を明らかにし、市民とともに生活改善を求める声を上げていこうと呼びかけている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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