2019年04月19日 1572号

【究極の棄民$ュ策だ 住宅支援打ち切りを許さない 4月25日に抗議の院内集会、復興庁包囲】

 福島県は3月31日をもって区域外避難者への住宅支援策の終了、浪江町・富岡町を除く避難指示解除区域の住宅無償提供打ち切りを強行した。

 区域外避難者の住宅無償提供は2年前に打ち切られたが、反対運動の中で民間賃貸住宅入居者への2年間家賃補助、国家公務員宿舎入居者への2年間継続入居(有償)など、わずかながら支援策を出させてきた。しかし県は、その後の生活・経済状態をつかむこともなく「激変緩和措置はとった」として一斉に終了を宣言。10数か所・約70世帯の国家公務員宿舎入居者に3月28日付で、退去を促し、応じない者には家賃の2倍相当の損害賠償を請求する旨、通知文を発送した。また、調停が不調に終わった都内の国家公務員宿舎入居数世帯に対しても同日付で明け渡すよう通告。「訴訟も含めた法的措置による解決を検討」と脅しをかけてきた。

 「一方的な打ち切り、強制的な追い出しは人権侵害」「被害者・避難者への2倍損害賠償請求は理不尽だ」―避難者・支援者はただちに反撃に出ている。4月1日、多くの避難者が住む国家公務員宿舎・東雲(しののめ)住宅(東京・江東区)付近で、ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)に加わる避難者や「避難の協同センター」「原発事故避難者の住宅確保を支援する江東の会」の支援者らが抗議のビラまきを行った。

 4月4日には、ひだんれんと「『避難の権利』を求める全国避難者の会」が共同で抗議声明を発表。福島県庁に集合し、県知事に直訴しようと知事室に向かった。神奈川県に避難中の村田弘さんは「原発事故という人災によって行き場を失っている県民から、生活の根拠である住宅を容赦なく奪い去る通告。究極の“棄民”政策の強行を断じて認めることはできない。即時撤回と、正道に戻った真摯な対応を要求する」と怒りをぶつける。知事室に近づくことは拒否され、声明を廊下で読み上げて秘書課職員に手渡した。

 4月25日には、ひだんれんと全国避難者の会が呼びかけ、午後3時から衆院第2議員会館の多目的会議室で「原発事故避難者への相次ぐ支援打ち切りに抗議する」緊急集会が開かれる。集会終了後、5時半から復興庁を包囲して抗議アピール行動が行われる。

 当事者の権利を守る闘いも並行して進められている。原発避難者住宅裁判を準備する会は3月末日、国家公務員宿舎の「一時使用許可申請(継続)」の集団提出を行った。国や県がこれに“不許可”の判断を下せば、不服審査申し立てなど法的な対抗手段に訴える。4月以降も住み続ける避難者に向け、“一人ではない”“避難の権利、居住の権利を堂々と訴えていこう”と弁護士による相談会や講演会を東雲住宅付近で開く。同会世話人代表で避難者の熊本美彌子さんは「一時使用許可申請の第二次募集をして、一人でも多くの方の孤立を防ぎたい。引っ越し先のめどの立たない避難者は、原発事故被害者への救済策・住宅対策が法律・制度面で不作為なために生まれた犠牲者だ。この問題をあいまいにしてはいけない」と支援を訴える。
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