2019年04月26日 1573号

【議会を変える もう限界−高すぎる国民健康保険料 京都府向日市議 杉谷伸夫】

 2年少し前、このコラムで向日(むこう)市の国民健康保険料(国保料)が大幅値上げされそうだと書きました。その後、私の想定を上回る平均17%超の大幅値上げが、3年がかりで実施に移されました。2019年度がその最終年度です。2018年度には例えば総所得250万円、40歳代の夫婦・子1人の3人世帯で、国保料は42万5千円になりました。2019年度には約45万円になるでしょう。所得の20%近くになります。

 しかし、これで留まらないことがわかってきました。

 国民健康保険(国保)は、雇用先での医療保険に入っていないすべての国民(75歳以上は別=後期高齢者医療保険)が加入し、市町村が運営主体となる公的医療保険です。国民の4人に1人、65〜74歳の高齢者の7割以上が加入しています。かつては自営業者が中心だったのですが、今では高齢者や雇用先の医療保険に加入できない非正規労働者など、無所得や低所得の方が多数を占めています。必然的に保険料が高くなります。そこで多くの市町村は、一般会計から財政援助して保険料の値上げを抑制してきました。

 ところが政府は、2018年度から国保財政を都道府県単位化したことを機に、各市が一般会計から国保会計への援助(繰入れ)をしないよう市町村に圧力をかけ、各地で国保料の値上げが問題になっています。向日市も国に従い、その結果国保料が約17%も値上げされたのです。

 ところがさらに続きがありました。向日市から京都府への納付金が、国保財政の都道府県単位化1年目の2018年度に続き2019年度も、一人当たり10%以上も上昇することが明らかになりました。複雑な計算はさておき、京都府が裁定して請求した納付金を納めるしかないというのです。このままでは向日市の国保料は17%の大幅値上げに続き、来年度以降もさらなる大幅値上げが必至という恐るべき状況です。

 解決策は、何より国保財政に対して国が全面的に責任を持つべきです。全国知事会が、国保財政に1兆円の国費の投入を要求しています。これにより「協会けんぽ並みの保険料」が実現できるといいます。軍事費に5年間で27・5兆円も捨てる金の一部で十分可能です。

 私は市町村の責任も大きいと主張しています。困難に直面する市民生活を支えるのが市町村の重要な仕事です。国の言うがままに追従するのでなく、あまりに負担の大きい世帯に対する市独自の保険料軽減策など、市民の暮らしに真に寄り添う施策を行うよう引き続き求めたいと思います。
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