2019年05月03日・10日 1574号

【みるよむ(516) 2019年4月20日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクで広がる魔術といかさま師】

 イラクでは今、町の中で魔術が広く行われている。いかさま師が非科学きわまりない魔術を利用して市民からお金をだまし取っている。2019年3月、サナテレビは市民にインタビューし、不正行為の実態と社会背景に迫った。

 映像では、バグダッドの町中で魔術を行っている場面や「催眠療法/知覚/間接的効果/形而上学/天文学と占星術/感情抑制」などの宣伝が映し出される。

 市民活動家は「神様が夢と願いをかなえてくれる、とはるか遠方から『魔術師』を探し求めて来る。いかさま師はカラーダ地区(バグダッドの繁華街)などに相談所を開き、どんな相談事でも400ドルから500ドルも受け取る」と説明する。これは、契約労働者の1か月分の収入かそれ以上の金額である。

 魔術によって自分の将来が予言できたり幸福になれることなどありえない。「いかさま師は、人びとの社会的知識不足につけこんでお金をだまし取る」。詐欺、犯罪行為が公然と行われている。

 メディア関係の女性も「人びとが魔術を信じているのは、よく知らないからだ。いかさま師たちは金儲けのためにこの仕事をしており、だまされないようにしよう」と警告する。

魔術同様の不正政治

 ある大学教員は、詐欺、魔術は違法であり犯罪と断じた上で、今のイラク社会との関係について指摘する。権力者たち、政治家や資本家、マスコミが黒魔術のようなことをやっている。「法律を隠れみのにして不正を働いているのがこの指導者たちだ。そんな不正が民主主義の名の下に行われた」と批判している。

 現在のイラクでは、市民をペテンにかけて一部の特権階級だけが豊かな暮らしをしている。マスコミはそうした事実をおおい隠し、いかにも社会が美しいかのように見せかけている。

 イラク社会の構造が魔術を横行させ、代表的な政治家たちも詐欺や汚職に関与している。社会も政治も魔術同様の状況なのである。

 サナテレビは、魔術の問題からイラク社会で起きている不法行為と腐敗を告発し、不正をただして公正な社会を築こうと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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