2019年05月03日・10日 1574号

【大津市議選 中川てつや候補 23票届かず 市民運動で憲法生かす市政へ】

 「憲法を市政に生かす」。こんな真当な主張を正面にかかげて大津市議会議員選挙に初挑戦した中川哲也さん。結果は惜しくも次点、当選者には23票届かなかった。

 だが、中川さんの訴えは確実に市民の共感を呼んだ。選挙戦最終日、駅頭での訴えは喝采を浴びた。「今の市長は憲法を蔑(ないがし)ろにしている。私は38年間の大津市職員の時、片時も憲法を忘れたことはない。憲法の精神を貫き通してきた。そんな私です。議員になっても決してぶれることはありません。是非、議会送って下さい」

 演説を聞いていたタクシードライバーは、客を乗せながらも、激励の握手のために車を止め、窓から手を伸ばした。

 中川さんが、現市長の弱者切り捨ての政治姿勢にがまんできず立候補を決意したのは1年前、退職した時だ。以来、早朝から駅頭に立ち、チラシを配り、地道に自分の考えを訴えてきた。

 選挙カーで地域を回れば、市長に対する批判の声が聞こえてくる。支所削減に対する怒りの声だった。「越市長には腹立つね」。若い母親から、遠くの支所に行く時間がとれないと聞かされた。支所削減反対を中心政策にすえていた中川さんだが、地域の人びとの話に学んだ。「支所削減は高齢者や障がい者にとって死活問題だと訴えてきたが、それだけではないことに気づかされた」

 そんな誠実さが政策への信頼を一層高めている。「中川さんに決めてます。原発と憲法について話す候補は他に誰一人いません」「中川のいうことはもっともだ。孫も含めて14票は入れる」。選挙事務所にそんな電話が入ることもあった。激励のFAXも送られてきた。

 日付が変わる頃、38の定数枠が決まっていった。開票結果を聞いた中川さんは「選挙で全てが終わったわけではない。越市長はいよいよ公立保育園の民営化方針を打ち出した。これからも、訴えてきたことを市民運動で実現していく」と決意を新たにした。大健闘の結果に、ねぎらいと賛同の拍手が起こった。ともに闘った支援者は「明るい、いい選挙戦ができた」「ぜひ次もやろう」と次を見すえた。

 
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS