2019年05月17日 1575号

【地方選当選女性議員 「過去最高」でも県議10% 市議18% 女性差別撤廃条約の選択議定書批准へ署名を】

「候補者男女均等法」後だが

 4月の統一地方選が終わったが、女性議員はどれだけ増えたのだろうか。

 今回の選挙は、昨年5月に成立した「政治分野における男女共同参画推進法」の施行後の初めての大規模な選挙だった。この法律は、政党が男女同数の候補者を出すよう努力しなければならないというもので、「日本版パリテ法」(「パリテ」はフランス語で同数という意味)と呼ばれている。フランスの法律では、政党は男女同数にする義務があり、守らなければ政党への助成金が減額される罰則が盛り込まれている。日本の場合はあくまで「努力義務」だ。そうであっても、政党は全会一致で成立させた責任を果たす姿勢を示さなければならないはずだ。しかし、立候補者のポスターの掲示版を見ても、男性候補者の多さにうんざり。「そう簡単には変わらない」ことを改めて実感した。

 選挙の結果は、都道府県議選で当選した女性は全当選者の10・4%、市議選当選者のうち女性の割合は18・4%。これでも「過去最高」だが、まだまだ2割にも満たない。

女性議員を増やそう

 世界的に見ると、日本の女性議員の少なさは際立っている。列国議会同盟の報告によると、日本の国会議員(衆議院)の女性比率は10・2%で193か国中165位。「先進国」とされるG20中最下位という恥ずかしい位置にある。

 その背景には、「女は政治に口出しするな」という意識が残っており、「男中心の地域社会」の代表として多くの候補者が決まることがある。また、女性を家事、育児や介護の当然の担い手とみなし、女性議員の活動そのものが阻害されている議会も多い。

 女性がもっと声をあげ、権利を主張できるようにするためにも、ジェンダー平等の立場で発言できる女性議員を増やさなければならない。

 大阪府枚方(ひらかた)市議選では、松田久子さんが女性の声を市政に反映させるために、女性議員を増やそうと訴えて善戦した。5月19日告示の東京都足立区議選では、予定候補土屋のり子さんの2期目を実現し、さらに夏の参院選での女性議員躍進のために、全力で支援しよう。

選択議定書拒む日本政府

 日本が世界からいちじるしく立ち遅れているのは、国際的な取り決めを認めようとしないことからも明らかだ。

 「個人通報制度」を定めた女性差別撤廃条約の選択議定書(1999年国連総会採択)を日本はいまだに批准していない(すでに109か国が批准)。「個人通報制度」とは、女性の権利が侵害されたことについて国内の裁判などで救済されない場合、女性差別撤廃委員会に通報して審議してもらう制度。この「個人通報制度」は、社会権規約や自由権規約などの主な9つの国際人権条約の選択議定書にも含まれているが、日本はどれ一つ批准していない。

 批准を渋っているのは、批准すれば国際機関から国内法の改正や政策の変更を迫られるからだろう。女性の権利侵害やセクハラの問題が後を絶たず、性暴力加害者への「無罪判決」が出され、勇気を出して声をあげた女性たちが司法の場でも救済されない問題などが次々に起きている。

 このような社会を変えていくためにも、今国会での選択議定書批准に向けた国会請願署名に取り組んでいる。署名用紙は次のホームページからダウンロードできる。http://jaiwr.net/jnnc/2018opshomeiirai.html

 この署名を多くの人びととともにぜひ広げたい。

(OPEN<平和と平等を拓く女たちの絆>・山本よし子)

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