2019年05月17日 1575号

【究極の棄民 住宅支援打ち切り/原発事故被害者の住まいを奪うな/緊急集会と復興庁抗議行動】

 「避難の権利」を求める全国避難者の会と原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)の共催による「原発避難者の住宅と人権保障を求める共同行動〜被害者の住まいを奪うな!緊急集会」が4月25日、衆院第2議員会館で開かれ、会場いっぱいの150人が集まった。

 福島県は、国家公務員宿舎に入居する区域外避難者に「3月末退去」を迫り、「退去しない場合4月以降2倍の家賃を請求、法的措置も検討」とする通知書を送りつけた。4月以降の住宅が確保できていないのは71世帯。継続中の話し合いの経過を無視する一方的な送付だ。民間賃貸住宅入居者への月額2万円補助打ち切り、避難指示解除区域避難者への住宅無償提供の打ち切り、帰還困難区域避難者への無償提供の2020年3月末打ち切りも合わせて通知した。

 ひだんれん幹事の村田弘さんは「国・福島県が避難者に責任を負わないと事実上宣言した」と事態の重大性を指摘。避難の協同センター事務局長の瀬戸大作さんは自死した母子避難者やホームレスになった避難者のことを伝え、「緊急ホットラインにSOSが入った。連休明けまで生活費がもつか心配だ」と公的支援打ち切りの冷酷さを批判した。

 都内に避難している熊本美彌子さんは「娘さんが20歳を超えた世帯、60歳未満単身者は都営住宅に応募できない。何度応募しても当たらない人も。4月以降行き場がないのは避難者の責任ではない」と話し、自身が代表世話人を務める「原発避難者住宅裁判を準備する会」として3月末に国・福島県・東京都に一時使用許可申請を出し、「不当に居座っている」と言わせない行政手続きで立ち向かっている取り組みを報告した。

 闘いの経験報告や心のこもった熱い激励のあいさつが続く。大阪避難者の会代表の羽石敦さんは「私たちも2年前、『退去』『2倍請求』と全く同じことを言われた。1年間協議を重ね、(1)避難者の抽選なし優先入居(2)60歳未満単身入居(3)市営住宅建て替え時の低家賃仮入居―の3つでほぼ満額回答。大阪でできたことが東京でできないはずはない」。「居住と“非差別”を守る会」の美濃由美さんは「1998年の公営住宅法改正による同和住宅家賃10倍値上げに約1000世帯が供託。追いつめられた当時が思い出され、胸がいっぱいだ。2000年からは裁判に。10年頑張り、明け渡しは全部勝ったが家賃支払いは全敗。しかし、払えない。ある住民は『これからが行政交渉。値を下げさせる』と。3年間行政と話し合い、9割9分が10倍家賃を下げさせて、払える家賃で住み続けることに成功した。要(かなめ)はへこたれないこと。最後は勝てる」と励ました。

 集会終了後、復興庁前で避難者・支援者がむしろ旗を掲げ、抗議アピールを行った。

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