2019年05月24日 1576号

【1576号主張 平和への逆流許さぬ国際連帯 ZENKOスピーキングツアーへ】

合意に反する軍事挑発

 東アジアの平和構築に逆行する危険な動きが表れている。

 朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は5月4日、9日にミサイル発射。朝鮮外務省報道官は、ロケット砲、戦術誘導兵器など火力打撃訓練で「誰かを狙ったものでない正常な軍事訓練」とするが、軍事緊張を強め、好戦勢力に口実を与えるものでしかない。厳しく批判されなければならない。

 しかし、朝鮮のミサイル発射の背景には、米韓による軍事挑発がある。3月、例年の大規模演習は廃止したものの、縮小した米韓合同軍事演習「同盟19―1」を実施。4月20日には平沢(ピョンテク)市の米軍基地でサード(高高度防衛ミサイル)の展開訓練を行い、サードを追加配置したとの報道もある。さらに米韓空軍の連合編隊群総合訓練が4月22日から5月3日まで続き、その翌日に朝鮮のミサイルは発射されたのだ。

 一連の軍事演習は、昨年の6・12米朝共同声明や9・19南北軍事合意にも反する軍事挑発だ。断じて許されない。

韓国・沖縄民衆の闘い

 安倍首相は「条件を付けず」日朝首脳会談を目指すことを表明した。先月、ロシアのプーチン大統領が金正恩(キムジョンウン)朝鮮国務委員長と会談したことで、「核問題解決への6か国協議」参加国による朝鮮との首脳会談は、中国4回、韓国3回、米国2回、ロシア1回となった。日本だけが蚊帳の外に置かれ、国際的に孤立した形だ。安倍の「対話に意味なし」の圧力一辺倒路線は方針転換を迫られた。

 安倍は、トランプ来日、G20をあわせ外交で支持率浮揚をもくろみ、参院選を乗り切って辺野古新基地建設強行、2020年の改憲を狙う。

 戦争へのこうした執拗な動きに抗し、韓国、沖縄では粘り強い市民の闘いが続く。

 韓国星州(ソンジュ)ソソンリでは、戦争の火種となるサード正式配備阻止のために住民が体を張って連日闘っている。朴槿恵(パククネ)を退陣させたろうそく集会の構成団体がその後「サード阻止全国行動」を組織するなど、サード阻止は全国的な闘いへと広がっている。済州(チェジュ)島でも海軍基地撤去、第2空港の建設反対の闘いが行われている。

 沖縄辺野古では5月11日、米軍キャンプ・シュワブゲート前の県民大行動で、約900人が新基地建設阻止の声を上げた。工事は軟弱地盤問題をはじめ見通しが全くたたず、県の試算では完成まで13年かかる。一方、在沖米海兵隊のグアム移転が2024年秋に始まる。政府の言う「普天間基地負担軽減のため辺野古が唯一」の破綻はもはや隠しようがない。工事を1日、1日と遅らせることで、新基地を阻む展望は一層広がる。

原動力は市民の連帯

 戦争や改憲を阻止し、平和構築の流れをおしすすめる原動力は日韓市民の連帯だ。6月1〜9日、「東アジアに平和を! 武力なき平和のための2019ZENKOスピーキングツアー」が全国6都市で開催され、韓国済州島、沖縄辺野古で闘うゲストを招く。日韓市民の連帯で朝鮮半島非核化と朝鮮戦争終結を実現し、東アジアの平和を前進させよう。運動の力で市民と野党の共闘をおし進め、7月の参院選に勝利し、戦争・改憲路線の安倍政権を打倒しよう。

   (5月13日)
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