2019年05月24日 1576号

【みる…よむ…サナテレビ(518)/2019年5月4日配信 イラク平和テレビ局in Japan/オンラインゲームとイラクの若者】

 イラクでもSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は盛んだ。オンラインの電子ゲームも普及し、若者や子どもへの様々な悪影響も報告されている。2019年3月、サナテレビはこの問題について市民の意見を聞いた。

 SNSのオンラインゲームは特に若者に急速に浸透しているが、様々な問題が起こっている。

 イラクでは失業率が28%に達し、若者の失業者は特に多い。あるメディア関係者は「仕事がなく『自由な』時間を文化的な活動やスポーツではなくゲームに使い切り、若者の知性は消耗してしまう」と指摘する。持て余した時間でゲームに没入した若者が、依存症へと追い込まれている。

 番組は、オンラインゲームに暴力や殺人の場面を使っているものがあることに警告を発する。大学生は「ゲームを娯楽の手段としてではなく、暴力行動の手段として使う人びとがいる」と指摘する。もう一人の大学生は「あるゲームは、終着点にたどり着き勝つまで殺人を続けろと要求する。若者の日常生活の中で殺人や暴力行為を教えている」と批判する。

 米軍がイラクを占領していた2009年、日本のゲーム会社が、中部ファルージャ市民1000人以上を米軍が虐殺した事件を題材にしたゲームを売り出した。これに対し、世界の反戦団体も私たちイラク平和テレビ局in Japanも抗議を集中した。その時は批判が高まってすぐに販売が中止されたが、暴力や殺人を賛美するゲームはむしろ増えている。

 一方で、知性に刺激を与えて理解力を高めるゲームもある。大学生らは、そのようなゲームこそ活用するべきであること、特に18歳以下の子どもに暴力を奨励するゲームなどを与えないように規制していくことを訴えている。

 日本、欧米同様に、イラクでも子どもや若者の依存症、戦争ゲームによる心理的な悪影響が広がっている。サナテレビは、こうした新たな問題も社会的に監視し、民主的に規制していこうと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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