2019年05月31日 1577号

【1577号主張 9条改憲NO、生存権実現は一体 軍事費を市民生活へ】

好戦維新に呼応する安倍

 丸山穂高衆院議員(日本維新の会)の「戦争で奪われた領土は戦争で取り返すしかない」暴言に怒りがわき起こっている。平和主義を全面否定するものに議員の資格はない。慌てた日本維新の会は丸山を除名したが、小手先の対応ですむものではない。

 維新は安倍政権の補完勢力であるとともに、安倍に勝るとも劣らない好戦勢力。丸山発言は、維新の本音であり、安倍自身が口にしたくともできない本音である。

 5月16日の衆院本会議で、維新の森夏枝議員が「日本に対するサイバー攻撃は専守防衛の適用除外にすべき」と先制攻撃を煽り立てたのに対し、安倍も「自衛のための武力行使は可能」と答弁。自民党は憲法審査会を強行開催するなど憲法改悪へ動きを強める。「2020年改憲施行」の宣言にもかかわらず、改憲への世論の支持が広がらないことに対する焦りの表れだ。安倍と維新らが一体となった改憲策動を葬り去るときである。

市民生活根こそぎ破壊

 第2次安倍政権が発足した2012年以降の7年間で軍事費は5400億円も増えた。今後5年間でさらに27兆5千億円を注ぎ込む。これだけの予算を市民生活に回せばどれほどのことができるか。

 今や学生の2人に1人といわれる奨学金対象者133万人全員に「ローン」でない給付型奨学金を支給するのに必要な財源は約4900億円。新たに導入するイージス・アショア(2基で総額6千億円以上)をやめるだけで可能になる。2019年度に削られた社会保障費の自然増分は1200億円に上る。最新鋭戦闘機F35A6機導入とF162機改修(関連経費を含む)を中止すれば削減せずに済む。

 この3月で住宅補助を打ち切られた福島からの避難者は約2千世帯。家賃は1世帯あたり月額7万円程度だから年間17億円あれば打ち切りは不要だ。北海道ではJRの200億円の赤字のために道民生活に欠かせない鉄路が奪われようとしている。安倍の軍事優先政策は市民生活を全分野で徹底的に破壊する。

地域から人権保障を対置

 5月3日、安倍は「令和新時代」宣伝で改憲誘導を狙ったが、全国で昨年以上の市民が憲法集会に参加。憲法でなく政権を変えようと訴えた。

 莫大なアジア民衆を犠牲にした侵略戦争の反省から生まれたのが日本国憲法だ。制定過程で広範な人びとが生存権を書き込むために全力を尽くした。戦争を推進した勢力を解体し、戦争で破壊された市民生活を再建する基礎として生存権が明記され、その実現へ闘いが続いている。いのち≠ニ暮らし≠ヘ、いつの時代も戦争の対極にある。地域から人権保障を対置し、ひとつずつ権利を実現する闘いが戦争国家を解体する。

 この闘いにこそ高い理想が必要だ。アメリカ民主主義的社会主義者(DSA)所属のオカシオコルテス下院議員は「ゴミくずより10%だけマシだというところで妥協するつもりはない」と根本的変革を掲げる。国民皆保険制度の確立を訴え、支持を拡大する。

 グローバル資本主義と戦争路線による生活破壊に怒りは渦巻いている。軍事費を市民生活へ。すべての闘いを束ね、地域からの変革―生存権実現へ闘おう。

   (5月18日)
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