2019年07月26日 1585号

【DSA 声明 米国のイラン戦争NO! 今すぐ制裁を終わらせろ イラン労働者と連帯】

 イランに対する米トランプ政権の戦争挑発が続いている。米軍トップが「有志連合」を呼びかけ、安倍政権も自衛隊派兵の機をうかがう。だが、米国と世界の民衆は「イラン戦争反対、経済制裁やめろ」の声を上げている。6月27日、DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)が発したイラン戦争NOの声明(要旨)を紹介する。

 アメリカ民主主義的社会主義者は米国によるイラン戦争に断固として反対する。それは2003年のイラク戦争と同じ「自ら選んだ戦争」(注1)となり、巨大な人道上の災害を引き起こす可能性が高い。

 国家安全保障問題担当補佐官ジョン・ボルトンは、米国の資金提供を受けるイランのカルト集団ムジャヒディン・ハルク(注2)と連携しつつ、長年にわたりイランを攻撃するよう迫ってきた。イランに深刻な打撃を与える制裁を最も強硬に推進したのがボルトンと国務長官マイク・ポンペオだ。制裁の結果、輸入原材料で作られる製品が不足し、生活費が急騰し、命にかかわる医薬品が入手できず、若者の失業率は過去最高になった。

 6月20日、イランが自国領空でスパイ任務についていたとして米軍の無人機を撃墜した後、ドナルド・トランプはイランを空爆する寸前のところまで行った。5月のタンカー攻撃後の1500人増派計画も、中東に兵士1000人以上とパトリオット・ミサイル、有人・無人の偵察機を送り込む計画も、撤回されていない。

 こうした武力による威嚇はすべて、2015年に英国、フランス、中国、ロシア、ドイツとともに署名したイランとの核合意から米国が一方的に脱退した状況下で起こった。イラン・イスラム共和国は核合意の条項に従い続けていたが、先頃、米国の制裁がヨーロッパの核合意参加国によって埋め合わせされなければ合意の制限を超えて核の備蓄を増やすと発表した。

 米国はイラン攻撃について、イランの核兵器開発を防ぐためだと主張してきた。米国もその同盟国イスラエルも核兵器を保有しているが、2007年の国家情報評価報告の結論によれば、イランは2003年に核開発計画を中止している。米国の主張は、トンキン湾事件(注3)やイラクの「大量破壊兵器」疑惑のように、事実を歪曲して戦争の口実を作ろうとするものだ。

 戦争の脅威が高まったのは、イランの労働者階級が南西部のハフト・タッペ製糖工場をはじめとするストライキへの神権政治の政府による弾圧をものともせず組織化を進めていた時である。イラン政府は2018年メーデーのデモ参加者も逮捕した。労働者の抵抗が再び高まりつつある。しかし、米国によるイラン戦争は、こうした運動にとって破滅的な事態をもたらし、労働者階級の組織化を押しつぶす排他的自己中心的雰囲気をかきたてるだろう。イランの反体制活動家や労働組合員、人権・市民活動家たちは米国の軍事介入と制裁に全面的に反対し、トランプ政権が対立をあおるため離脱した核合意を支持している。

 DSAは新たな戦争の脅威に反対する活動と米国によるイラン制裁の終結、そしてイランのすべての政治犯、ハフト・タッペ製糖工場ストライキに参加したエスマイル・バクシやセピデー・ゴリアンら投獄された労働者の釈放を求める国際主義キャンペーンを強く呼びかける。

(注1)米外交問題評議会のリチャード・ハースは、戦争には「必要に駆られた戦争」と「自ら選んだ戦争」がある、とした。

(注2)イランの反体制武装組織。現政権と激しく対立している。

(注3)1964年、ベトナム戦争介入の口実に米国が仕組んだ謀略事件。



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